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the past story
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それから数日後、ロジェはエメラルドのブローチを完成させた。
ロジェの手掛けた繊細で気品に溢れる細工は、エメラルドの美しさをさらに際立たせた。
アレクサンドルはそれをたいそう気に入り、思いがけない手間賃を与えてくれた。
そして、さらに2つの新たな依頼をしてくれたのだった。
ロジェは次にベルへの婚約指輪の製作に取り掛かった。
アレクサンドルのおかげで、予定していたものよりも良い材料で台座を造ることが出来た。
2人はやがて暮らす家を探しに行ったのだが、ここでもラッキーな出会いに恵まれた。
ちょうど国外に引っ越す一家が、普通では考えられないような値段で家を譲ってくれることになったのだ。
その家は2人が考えていたものの倍以上もありそうな家だった。
日当たりが良く、手入れの行き届いた庭には色とりどりの季節の花や木々が整然と植え込まれてあった。
「ロジェ…私、まだ信じられないわ…
こんな素敵な家に住めるなんて…」
「本当に僕たちはツイてた。
こんな素晴らしい家をこんなに安くで譲ってもらえるなんて…」
「ここなら、母さんの身体も良くなりそうな気がするわ。
今の家とは違って、こんなに明るいし、こんなに良い風が通るんですもの。」
「お母さんにはこの部屋を使っていただこう。
ここなら、部屋から外の花壇が見えてご気分も良さそうじゃないか。」
「ロジェ…ありがとう。
母さんのことを大切に考えてもらって…私、幸せだわ…」
「ベル…手を出して…」
そう言うと、ロジェはベルの左手の薬指にムーンストーンの指輪を指した。
「まぁ…
…なんて綺麗なムーンストーンなんでしょう…!
まるでこの石の中には月の女神が住みついているようだわ…」
「僕にとっては、君が月の女神そのものに見えるよ…」
「ロジェ…」
「ベル…幸せになろうね…」
結婚式は来月に決まった。
2人には親戚もなく、ベルの母親も起き上がれる身体ではなかったので、僅かな友人達を呼び、レヴィンとヴァンヴェールの教会で慎ましやかに式を挙げることにした。
ロジェとベルの幸せはもう手の届く所まで来ているかのように思えた。
ロジェの手掛けた繊細で気品に溢れる細工は、エメラルドの美しさをさらに際立たせた。
アレクサンドルはそれをたいそう気に入り、思いがけない手間賃を与えてくれた。
そして、さらに2つの新たな依頼をしてくれたのだった。
ロジェは次にベルへの婚約指輪の製作に取り掛かった。
アレクサンドルのおかげで、予定していたものよりも良い材料で台座を造ることが出来た。
2人はやがて暮らす家を探しに行ったのだが、ここでもラッキーな出会いに恵まれた。
ちょうど国外に引っ越す一家が、普通では考えられないような値段で家を譲ってくれることになったのだ。
その家は2人が考えていたものの倍以上もありそうな家だった。
日当たりが良く、手入れの行き届いた庭には色とりどりの季節の花や木々が整然と植え込まれてあった。
「ロジェ…私、まだ信じられないわ…
こんな素敵な家に住めるなんて…」
「本当に僕たちはツイてた。
こんな素晴らしい家をこんなに安くで譲ってもらえるなんて…」
「ここなら、母さんの身体も良くなりそうな気がするわ。
今の家とは違って、こんなに明るいし、こんなに良い風が通るんですもの。」
「お母さんにはこの部屋を使っていただこう。
ここなら、部屋から外の花壇が見えてご気分も良さそうじゃないか。」
「ロジェ…ありがとう。
母さんのことを大切に考えてもらって…私、幸せだわ…」
「ベル…手を出して…」
そう言うと、ロジェはベルの左手の薬指にムーンストーンの指輪を指した。
「まぁ…
…なんて綺麗なムーンストーンなんでしょう…!
まるでこの石の中には月の女神が住みついているようだわ…」
「僕にとっては、君が月の女神そのものに見えるよ…」
「ロジェ…」
「ベル…幸せになろうね…」
結婚式は来月に決まった。
2人には親戚もなく、ベルの母親も起き上がれる身体ではなかったので、僅かな友人達を呼び、レヴィンとヴァンヴェールの教会で慎ましやかに式を挙げることにした。
ロジェとベルの幸せはもう手の届く所まで来ているかのように思えた。
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