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the past story
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「急ぐことはねぇ…
お前とはこれからもずっとつきあっていきたいから、金は時間をかけて少しずつ返してくれりゃあいいさ。
第一、そんな大切だってわかってるものをもらったって、俺にゃあ売れないからな。」
「それでは申し訳ありません。」
「お前は俺にとっちゃあもう息子みたいなもんだ。
本当ならただでやりたい所だが、そこまでの余裕はないもんでお代はちゃんといただくさ。
だから、独立してからもたまには遊びに来てくれよ!」
「…え?…独立?」
「そうさ、今の仕事が無事に終わったら、独立してやっていくんだ。
お前のその腕なら立派にやっていける。
ベルちゃんとおふくろさんをしっかり守っていくんだぞ!」
「…親方…」
親方の温かい心遣いにロジェの瞳からは涙が溢れた。
「親方…感謝します。
本当にどうもありがとうございます…!」
「すぐにも取りかかりたいだろうが、アレクサンドル様の仕事の方から先に頼むぜ!」
「もちろんですとも。
あと少しで完成なんですよ。」
そういって、ロジェは引き出しの中から深い緑色のエメラルドのブローチを取り出した。
「おぉ…
こいつはすげぇ!
よくもこんな細かい細工が出来たもんだな。
見事だ…!
これなら、気に入ってもらえること間違いなしだ!」
「本当ですか?」
「あぁ、アレクサンドル様がお得意さんになってくだされば、これからは生活も楽になるだろうさ。
結婚して独立して…これからはお前もやっと幸せになれそうだな…
本当に良かったな…」
「これもすべては親方のおかげです。
本当にどうもありがとうございました。」
親方の言う通りかもしれない…
ベルへの婚約指輪も贈れることになった。
まさか手に入るとは思ってもいなかったあの素晴らしいブルームーンストーンが手に入ったのだ。
アレクサンドル様の依頼品は自分でも満足の行く出来だった。
これを気に入っていただければこれからも仕事がいただけることだろう。
そうすれば、暮らし向きも少しずつ良くなっていくはずだ。
ベルの母親に滋養の付くものを食べさせ、良い医者にかからせることも出来るようになるかもしれない。
そして、何よりも、これからは愛するベルと一緒に暮らせるのだ…
これ以上、幸せなことがあるだろうか…と、ロジェは感動に胸を震わせた。
お前とはこれからもずっとつきあっていきたいから、金は時間をかけて少しずつ返してくれりゃあいいさ。
第一、そんな大切だってわかってるものをもらったって、俺にゃあ売れないからな。」
「それでは申し訳ありません。」
「お前は俺にとっちゃあもう息子みたいなもんだ。
本当ならただでやりたい所だが、そこまでの余裕はないもんでお代はちゃんといただくさ。
だから、独立してからもたまには遊びに来てくれよ!」
「…え?…独立?」
「そうさ、今の仕事が無事に終わったら、独立してやっていくんだ。
お前のその腕なら立派にやっていける。
ベルちゃんとおふくろさんをしっかり守っていくんだぞ!」
「…親方…」
親方の温かい心遣いにロジェの瞳からは涙が溢れた。
「親方…感謝します。
本当にどうもありがとうございます…!」
「すぐにも取りかかりたいだろうが、アレクサンドル様の仕事の方から先に頼むぜ!」
「もちろんですとも。
あと少しで完成なんですよ。」
そういって、ロジェは引き出しの中から深い緑色のエメラルドのブローチを取り出した。
「おぉ…
こいつはすげぇ!
よくもこんな細かい細工が出来たもんだな。
見事だ…!
これなら、気に入ってもらえること間違いなしだ!」
「本当ですか?」
「あぁ、アレクサンドル様がお得意さんになってくだされば、これからは生活も楽になるだろうさ。
結婚して独立して…これからはお前もやっと幸せになれそうだな…
本当に良かったな…」
「これもすべては親方のおかげです。
本当にどうもありがとうございました。」
親方の言う通りかもしれない…
ベルへの婚約指輪も贈れることになった。
まさか手に入るとは思ってもいなかったあの素晴らしいブルームーンストーンが手に入ったのだ。
アレクサンドル様の依頼品は自分でも満足の行く出来だった。
これを気に入っていただければこれからも仕事がいただけることだろう。
そうすれば、暮らし向きも少しずつ良くなっていくはずだ。
ベルの母親に滋養の付くものを食べさせ、良い医者にかからせることも出来るようになるかもしれない。
そして、何よりも、これからは愛するベルと一緒に暮らせるのだ…
これ以上、幸せなことがあるだろうか…と、ロジェは感動に胸を震わせた。
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