417 / 449
the past story
4
しおりを挟む
「親方…あの…ちょっとご相談したいことがあるのですが…」
「なんだい?あらたまって…」
「親方は、以前このアマゾナイトを誉めて下さいましたよね。
けっこう価値の高いものだと…」
そう言って、ロジェは自分の指にはめられたアマゾナイトの指輪を差し出した。
「あぁ、この石はたいそう良い石だ。
こんなに綺麗な色で大きなモノは珍しいな。
細工を変えりゃ相当良い値段で売れるぜ!」
「…親方…この石を買い取ってはいただけないでしょうか?」
「なんだって?この石をって…
これはお前にとっては命と同じ位大切なものだって言ってたじゃないか。
これは確か…お前さんのおふくろさんの石だったんだよな?」
「…はい。
母は実は貴族の娘だったそうで、この石は母の家に代々伝わる石だということでした。
その母が亡くなってから、父はその石を母の変わりに身につけていたのですが、母が逝ってほんの数ヶ月でその父も亡くなってしまいました…
ですから、この石は両親の思い出がいっぱい詰まったもので僕にとってはかけがえのないものです。
親方に仕込んでもらいやっと一人前だと認めていただいた時に、初めて手がけたのもこの石でした。
ペンダントだったこの石を自分で指輪に作り変え、今日までずっと一緒に過ごしてきた石ではあるのですが…」
「どうした?
金が必要なのか?
もしかしてベルちゃんのおふくろさんがどうかしたのか?」
「いえ…
そうではないのですが…
実は、どうしてもベルに贈りたいものがあるのです…」
「なんだ?」
「…あの…
先日のムーンストーンがどうしてもほしいのです。
もちろん、このアマゾナイトよりも高いのはよくわかっています。
その分はこれから働いて少しずつ払わせていただきます。
勝手な言い分ではありますが、親方!
どうか、あのムーンストーンをお譲りいただけないでしょうか…!
あのムーンストーンで指輪を作り、ベルに婚約指輪として贈りたいのです!」
「………そういうことか…
………ようし、わかった…!」
「…え…?
そ、それでは…」
親方はムーンストーンを持ってくると、黙ってロジェの前に差し出した。
「お、親方…!」
「良いもの作ってやんなよ。」
「あ…ありがとうございました!
では…」
「おっと…」
ロジェが自分の指から指輪をはずそうとすると、親方がその手を止めた。
「なんだい?あらたまって…」
「親方は、以前このアマゾナイトを誉めて下さいましたよね。
けっこう価値の高いものだと…」
そう言って、ロジェは自分の指にはめられたアマゾナイトの指輪を差し出した。
「あぁ、この石はたいそう良い石だ。
こんなに綺麗な色で大きなモノは珍しいな。
細工を変えりゃ相当良い値段で売れるぜ!」
「…親方…この石を買い取ってはいただけないでしょうか?」
「なんだって?この石をって…
これはお前にとっては命と同じ位大切なものだって言ってたじゃないか。
これは確か…お前さんのおふくろさんの石だったんだよな?」
「…はい。
母は実は貴族の娘だったそうで、この石は母の家に代々伝わる石だということでした。
その母が亡くなってから、父はその石を母の変わりに身につけていたのですが、母が逝ってほんの数ヶ月でその父も亡くなってしまいました…
ですから、この石は両親の思い出がいっぱい詰まったもので僕にとってはかけがえのないものです。
親方に仕込んでもらいやっと一人前だと認めていただいた時に、初めて手がけたのもこの石でした。
ペンダントだったこの石を自分で指輪に作り変え、今日までずっと一緒に過ごしてきた石ではあるのですが…」
「どうした?
金が必要なのか?
もしかしてベルちゃんのおふくろさんがどうかしたのか?」
「いえ…
そうではないのですが…
実は、どうしてもベルに贈りたいものがあるのです…」
「なんだ?」
「…あの…
先日のムーンストーンがどうしてもほしいのです。
もちろん、このアマゾナイトよりも高いのはよくわかっています。
その分はこれから働いて少しずつ払わせていただきます。
勝手な言い分ではありますが、親方!
どうか、あのムーンストーンをお譲りいただけないでしょうか…!
あのムーンストーンで指輪を作り、ベルに婚約指輪として贈りたいのです!」
「………そういうことか…
………ようし、わかった…!」
「…え…?
そ、それでは…」
親方はムーンストーンを持ってくると、黙ってロジェの前に差し出した。
「お、親方…!」
「良いもの作ってやんなよ。」
「あ…ありがとうございました!
では…」
「おっと…」
ロジェが自分の指から指輪をはずそうとすると、親方がその手を止めた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる