408 / 449
another story
42
しおりを挟む
腹を抱えてひとしきり笑った後、ようやく四人の笑いはおさまり、私は笑いすぎて溜まった涙を指で拭った。
「サリーのおかげで、今夜はとても楽しい夕飯になったな。」
「馬鹿!あんたがこんな似合わないものを選んでくるからだろ。
本当にあんたってセンスないんだから。」
「そのようだな…
……しかし……着てもらえて嬉しい。
もう捨てられているかと思っていた。」
「……捨てられるわけなんてないだろ!
……嬉しかったのはあたしの方さ。
こんなものもらったの初めてだし…
約束を守ってもらえたのも、あたしのことを女扱いしてくれたのはあんたが初めてだし…
これをあたしのためにレヴが探してきてくれたんだって思ったら……あたし……」
サリーの声はか細く、唇はわなわなと震えていた。
「おいおい。
君らしくないぞ……」
私は驚き、サリーの目の前にハンカチを差し出した。
「すごく嬉しかったけど…素直にありがとうって言えなかった…
…こんなこと、初めてだったから…どうして良いかわからなくて……」
サリーはハンカチで顔を押さえながら、小さな声で囁いた。
「もう良い…
私はそんなこと、気にはしていない……そもそも、私が勝手にやったことだ…」
「……ごめんよ、レヴ…それと……ありがとう……」
いつになくしおらしいサリーの様子に、私はすっかり混乱してしまった。
あの時はサリーに酷くなじられ、つまらないことをしてしまったと不快に感じたものだが、その実、サリーがこれほどまでに私の贈り物を喜んでいるといてくれたとは思いもしなかった。
さっき馬鹿笑いをしてしまった事が急に決まり悪く感じられ、私はおもむろに立ち上がると、いつもより少し声を張りながら「乾杯をしよう!」と声をかけた。
「サリーのおかげで、今夜はとても楽しい夕飯になったな。」
「馬鹿!あんたがこんな似合わないものを選んでくるからだろ。
本当にあんたってセンスないんだから。」
「そのようだな…
……しかし……着てもらえて嬉しい。
もう捨てられているかと思っていた。」
「……捨てられるわけなんてないだろ!
……嬉しかったのはあたしの方さ。
こんなものもらったの初めてだし…
約束を守ってもらえたのも、あたしのことを女扱いしてくれたのはあんたが初めてだし…
これをあたしのためにレヴが探してきてくれたんだって思ったら……あたし……」
サリーの声はか細く、唇はわなわなと震えていた。
「おいおい。
君らしくないぞ……」
私は驚き、サリーの目の前にハンカチを差し出した。
「すごく嬉しかったけど…素直にありがとうって言えなかった…
…こんなこと、初めてだったから…どうして良いかわからなくて……」
サリーはハンカチで顔を押さえながら、小さな声で囁いた。
「もう良い…
私はそんなこと、気にはしていない……そもそも、私が勝手にやったことだ…」
「……ごめんよ、レヴ…それと……ありがとう……」
いつになくしおらしいサリーの様子に、私はすっかり混乱してしまった。
あの時はサリーに酷くなじられ、つまらないことをしてしまったと不快に感じたものだが、その実、サリーがこれほどまでに私の贈り物を喜んでいるといてくれたとは思いもしなかった。
さっき馬鹿笑いをしてしまった事が急に決まり悪く感じられ、私はおもむろに立ち上がると、いつもより少し声を張りながら「乾杯をしよう!」と声をかけた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる