407 / 449
another story
41
しおりを挟む
*
「……サリーはどうした?
いつもなら真っ先に来るものを。」
夕食の席にサリーはいなかった。
他愛ない話をしながら私達は待っていたが、サリーはなかなか姿を現さない。
「私、みてきますわ。」
「いや、もう来るでしょう。」
立ち上がろうとしたジネットを私が止めたその時、静かに扉が開き、おずおずとサリーが顔を出した。
「まぁ、サリーさん!」
いつもと違い、俯き加減のサリーは、私が贈ったあのピンクのコスモス柄のドレスに身を包んでいた。
黙ったまま何も言わない私とヴェールにしびれを切らしたのか、サリーが突然声を荒げる。
「ほら、やっぱり似合わないだろ!」
その言葉にハッと我に返った私とヴェールは慌てて言葉を返す。
「い、いや、似合うぞ。
なぁ、ヴェール……?」
「え、ええ……と、とても素敵ですよ。」
しかし、顔を見合わせた途端、私達は思わず吹き出してしまった。
「なんだよ!そんなに笑うことないだろう~!!」
「そうですよ!
お二人共、失礼ですよ!」
ジネットの叱責にも私達の笑いは止まらない。
止めたくても止まらないのだ。
そのうち、笑いの発作はサリーにも伝染し、ついには真面目な顔をしていたジネットまでもがくすくすと笑い始めた。
「……サリーはどうした?
いつもなら真っ先に来るものを。」
夕食の席にサリーはいなかった。
他愛ない話をしながら私達は待っていたが、サリーはなかなか姿を現さない。
「私、みてきますわ。」
「いや、もう来るでしょう。」
立ち上がろうとしたジネットを私が止めたその時、静かに扉が開き、おずおずとサリーが顔を出した。
「まぁ、サリーさん!」
いつもと違い、俯き加減のサリーは、私が贈ったあのピンクのコスモス柄のドレスに身を包んでいた。
黙ったまま何も言わない私とヴェールにしびれを切らしたのか、サリーが突然声を荒げる。
「ほら、やっぱり似合わないだろ!」
その言葉にハッと我に返った私とヴェールは慌てて言葉を返す。
「い、いや、似合うぞ。
なぁ、ヴェール……?」
「え、ええ……と、とても素敵ですよ。」
しかし、顔を見合わせた途端、私達は思わず吹き出してしまった。
「なんだよ!そんなに笑うことないだろう~!!」
「そうですよ!
お二人共、失礼ですよ!」
ジネットの叱責にも私達の笑いは止まらない。
止めたくても止まらないのだ。
そのうち、笑いの発作はサリーにも伝染し、ついには真面目な顔をしていたジネットまでもがくすくすと笑い始めた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
誕生石の小物
三枝七星
ファンタジー
誕生石をモチーフにしたファンタジーアイテムのSS集です。
似たような作品群(https://www.alphapolis.co.jp/novel/519967146/971834185)
(※リアルの社会情勢を反映しておりません)
(※職業についての考察は詳細に行なっておりません)
(※現実的な法律、道徳、倫理、人権、衛生の面で「誤り」「加害的」「差別的」であることも描写されますが、これらを「是」とするものではありません)
(※随時修正する可能性はあります)
参考・引用文献
有名石から超希少石まで美しい写真でよくわかる宝石図鑑(KARATZ・小山慶一郎/日本文芸社/2023年)
世界観設定のための宝石図鑑(飯田孝一/エクスナレッジ/2022年)
守護石パワーストーン組み合わせ&相性大辞典(登石麻恭子・須田布由香・玉井宏/河出書房新社/2021年)
私は魔法最強の《精霊巫女》でした。〜壮絶な虐めを受けてギルドをクビにされたので復讐します。今更「許してくれ」と言ってももう遅い〜
水垣するめ
ファンタジー
アイリ・ホストンは男爵令嬢だった。
しかし両親が死んで、ギルドで働くことになったアイリはギルド長のフィリップから毎日虐めを受けるようになった。
日に日に虐めは加速し、ギルドの職員までもアイリを虐め始めた。
それでも生活費を稼がなければなかったため屈辱に耐えながら働いてきたが、ある日フィリップから理不尽な難癖をつけられ突然ギルドをクビにされてしまう。
途方に暮れたアイリは冒険者となって生計を立てようとするが、Aランクの魔物に襲われた時に自分が《精霊巫女》と呼ばれる存在である事を精霊から教えられる。
しかも実はその精霊は最強の《四大精霊》の一角で、アイリは一夜にしてSランク冒険者となった。
そして自分をクビにしたギルドへ復讐することを計画する。
「許してくれ!」って、全部あなた達が私にしたことですよね? いまさら謝ってももう遅いです。
改訂版です。
誰かが尾鰭をつけた話
片喰 一歌
ファンタジー
十歳の誕生日を境に成長の止まった少女・千鶴×彼女を保護した青年・紫水のおにロリ(和風)恋愛ファンタジーと見せかけた、ダークでシリアスな隠れSFファンタジー!?
綺麗なものも汚いものも、海は飲み込み、繋げるのです。
※1章・2章は導入って感じで、3章が実質1章でここからめっちゃ楽しいです!!
※人魚と人間の恋物語をお求めの方は4章の『誰かが尾鰭をつけたがった話』をよろしくね!現在連載中です!
<関連作品>
・『やがて海はすべてを食らう』
・『うつろな夜に』
(※人魚についての前知識が欲しい方は『うつろな夜に』内『ある船乗りの懺悔』をご参照ください。)
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
大嫌いな聖女候補があまりにも無能なせいで、闇属性の私が聖女と呼ばれるようになりました。
井藤 美樹
ファンタジー
たぶん、私は異世界転生をしたんだと思う。
うっすらと覚えているのは、魔法の代わりに科学が支配する平和な世界で生きていたこと。あとは、オタクじゃないけど陰キャで、性別は女だったことぐらいかな。確か……アキって呼ばれていたのも覚えている。特に役立ちそうなことは覚えてないわね。
そんな私が転生したのは、科学の代わりに魔法が主流の世界。魔力の有無と量で一生が決まる無慈悲な世界だった。
そして、魔物や野盗、人攫いや奴隷が普通にいる世界だったの。この世界は、常に危険に満ちている。死と隣り合わせの世界なのだから。
そんな世界に、私は生まれたの。
ゲンジュール聖王国、ゲンジュ公爵家の長女アルキアとしてね。
ただ……私は公爵令嬢としては生きていない。
魔族と同じ赤い瞳をしているからと、生まれた瞬間両親にポイッと捨てられたから。でも、全然平気。私には親代わりの乳母と兄代わりの息子が一緒だから。
この理不尽な世界、生き抜いてみせる。
そう決意した瞬間、捨てられた少女の下剋上が始まった!!
それはやがて、ゲンジュール聖王国を大きく巻き込んでいくことになる――
転生幼児は夢いっぱい
meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、
ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい??
らしいというのも……前世を思い出したのは
転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。
これは秘匿された出自を知らないまま、
チートしつつ異世界を楽しむ男の話である!
☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。
誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。
☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*)
今後ともよろしくお願い致します🍀
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
異界娘に恋をしたら運命が変わった男の話〜不幸の吹き溜り、薄幸の美姫と言われていた俺が、英雄と呼ばれ、幸運の女神と結ばれて幸せを掴むまで〜
春紫苑
恋愛
運命の瞬間は早朝。
泉から伸びる手に触れたことが、レイシールの未来を大きく変えた。
引き上げられた少女は、自らを異界人であると告げ、もう帰れないのかと涙をこぼした。
彼女を還してやるために、二人は共に暮らすこととなり……。
領主代行を務めるレイシールの、目下の課題は、治水。毎年暴れる河をどうにかせねば、領地の運営が危うい。
だが、彼の抱える問題はそれだけではない。
妾腹という出自が、レイシールの人生をひどく歪なものにしていた。
喪失の過去。嵐中の彼方にある未来。二人は選んだ道の先に何を得るのか!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる