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「村のことは、今まで通り、ディサさんとユスカさんという方々にお願いしてきました。」
「あぁ、君がみつかるまでの間、長の代わりを務めていた人達だな…
……しかし、なぜ?」
「西の村での話は、すでにサリーさんから聞いて下さっているのですね。
それなら、話が早いです。
私は、未だ私を探し続けているディサさんの娘さんを探そうと思ったのです。」
「その気持ちはわかるが…
村の長が不在というのは不都合ではないのか?
娘さんの手掛かりもないのだし、いつみつかるという予想すらつかないではないか。
いや、最悪、みつからないことだって考えられる。」
「確かに、村の長がいないということは良いことだとは言えませんが、私がたとえ、今、村にとどまったとしてもその状況は厳密には変わらないのです。」
「……どういうことなのだ?」
「レヴさんもご存じの通り、森の民は誰しもが護り石を持っています。
森の民にとっての護り石は、身分証のような…系図のような…そしてまたその人物の歴史のようなものでもあります。
しかし、私の護り石はディサさんの娘さんが持っているのです。
つまり、私は長である証を持たない長なのです。
それならば、そんな状態でじっと待っているよりも、自ら探しに出た方が良いように思えたのです。」
それはもっともな話だ。
ヴェールの話に私はゆっくりと頷いた。
「なるほど……
自ら、ディサさんの娘さんをみつければ、君の負い目もやわらぐだろうし、娘さんにとってもディサさんにとっても幸せな結果になる。
そして、同時に君の護り石が手に入れば君は堂々と真の長となれるということだな。」
「その通りです。
護り石がないからといって、私のことを長だと認めない者等森の民の中にいないから、安心して村に滞在するようにといわれましたが、私はやはり娘さんのことが気になるのです。」
「……その気持ちは私にもわかるような気がするぞ。
森の民が外の世界で君を探すのはとても大変なことだと思う…
それに、母親であるディサさんも、内心ではとても心配されていることだろう…」
その心情を思うと、私は胸が傷んだ。
「あぁ、君がみつかるまでの間、長の代わりを務めていた人達だな…
……しかし、なぜ?」
「西の村での話は、すでにサリーさんから聞いて下さっているのですね。
それなら、話が早いです。
私は、未だ私を探し続けているディサさんの娘さんを探そうと思ったのです。」
「その気持ちはわかるが…
村の長が不在というのは不都合ではないのか?
娘さんの手掛かりもないのだし、いつみつかるという予想すらつかないではないか。
いや、最悪、みつからないことだって考えられる。」
「確かに、村の長がいないということは良いことだとは言えませんが、私がたとえ、今、村にとどまったとしてもその状況は厳密には変わらないのです。」
「……どういうことなのだ?」
「レヴさんもご存じの通り、森の民は誰しもが護り石を持っています。
森の民にとっての護り石は、身分証のような…系図のような…そしてまたその人物の歴史のようなものでもあります。
しかし、私の護り石はディサさんの娘さんが持っているのです。
つまり、私は長である証を持たない長なのです。
それならば、そんな状態でじっと待っているよりも、自ら探しに出た方が良いように思えたのです。」
それはもっともな話だ。
ヴェールの話に私はゆっくりと頷いた。
「なるほど……
自ら、ディサさんの娘さんをみつければ、君の負い目もやわらぐだろうし、娘さんにとってもディサさんにとっても幸せな結果になる。
そして、同時に君の護り石が手に入れば君は堂々と真の長となれるということだな。」
「その通りです。
護り石がないからといって、私のことを長だと認めない者等森の民の中にいないから、安心して村に滞在するようにといわれましたが、私はやはり娘さんのことが気になるのです。」
「……その気持ちは私にもわかるような気がするぞ。
森の民が外の世界で君を探すのはとても大変なことだと思う…
それに、母親であるディサさんも、内心ではとても心配されていることだろう…」
その心情を思うと、私は胸が傷んだ。
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