404 / 449
another story
38
しおりを挟む
「村のことは、今まで通り、ディサさんとユスカさんという方々にお願いしてきました。」
「あぁ、君がみつかるまでの間、長の代わりを務めていた人達だな…
……しかし、なぜ?」
「西の村での話は、すでにサリーさんから聞いて下さっているのですね。
それなら、話が早いです。
私は、未だ私を探し続けているディサさんの娘さんを探そうと思ったのです。」
「その気持ちはわかるが…
村の長が不在というのは不都合ではないのか?
娘さんの手掛かりもないのだし、いつみつかるという予想すらつかないではないか。
いや、最悪、みつからないことだって考えられる。」
「確かに、村の長がいないということは良いことだとは言えませんが、私がたとえ、今、村にとどまったとしてもその状況は厳密には変わらないのです。」
「……どういうことなのだ?」
「レヴさんもご存じの通り、森の民は誰しもが護り石を持っています。
森の民にとっての護り石は、身分証のような…系図のような…そしてまたその人物の歴史のようなものでもあります。
しかし、私の護り石はディサさんの娘さんが持っているのです。
つまり、私は長である証を持たない長なのです。
それならば、そんな状態でじっと待っているよりも、自ら探しに出た方が良いように思えたのです。」
それはもっともな話だ。
ヴェールの話に私はゆっくりと頷いた。
「なるほど……
自ら、ディサさんの娘さんをみつければ、君の負い目もやわらぐだろうし、娘さんにとってもディサさんにとっても幸せな結果になる。
そして、同時に君の護り石が手に入れば君は堂々と真の長となれるということだな。」
「その通りです。
護り石がないからといって、私のことを長だと認めない者等森の民の中にいないから、安心して村に滞在するようにといわれましたが、私はやはり娘さんのことが気になるのです。」
「……その気持ちは私にもわかるような気がするぞ。
森の民が外の世界で君を探すのはとても大変なことだと思う…
それに、母親であるディサさんも、内心ではとても心配されていることだろう…」
その心情を思うと、私は胸が傷んだ。
「あぁ、君がみつかるまでの間、長の代わりを務めていた人達だな…
……しかし、なぜ?」
「西の村での話は、すでにサリーさんから聞いて下さっているのですね。
それなら、話が早いです。
私は、未だ私を探し続けているディサさんの娘さんを探そうと思ったのです。」
「その気持ちはわかるが…
村の長が不在というのは不都合ではないのか?
娘さんの手掛かりもないのだし、いつみつかるという予想すらつかないではないか。
いや、最悪、みつからないことだって考えられる。」
「確かに、村の長がいないということは良いことだとは言えませんが、私がたとえ、今、村にとどまったとしてもその状況は厳密には変わらないのです。」
「……どういうことなのだ?」
「レヴさんもご存じの通り、森の民は誰しもが護り石を持っています。
森の民にとっての護り石は、身分証のような…系図のような…そしてまたその人物の歴史のようなものでもあります。
しかし、私の護り石はディサさんの娘さんが持っているのです。
つまり、私は長である証を持たない長なのです。
それならば、そんな状態でじっと待っているよりも、自ら探しに出た方が良いように思えたのです。」
それはもっともな話だ。
ヴェールの話に私はゆっくりと頷いた。
「なるほど……
自ら、ディサさんの娘さんをみつければ、君の負い目もやわらぐだろうし、娘さんにとってもディサさんにとっても幸せな結果になる。
そして、同時に君の護り石が手に入れば君は堂々と真の長となれるということだな。」
「その通りです。
護り石がないからといって、私のことを長だと認めない者等森の民の中にいないから、安心して村に滞在するようにといわれましたが、私はやはり娘さんのことが気になるのです。」
「……その気持ちは私にもわかるような気がするぞ。
森の民が外の世界で君を探すのはとても大変なことだと思う…
それに、母親であるディサさんも、内心ではとても心配されていることだろう…」
その心情を思うと、私は胸が傷んだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!

【第一部 完結】俺は俺の力を俺の為に使い、最強の「俺」となる ~便利だが不遇な「才能開花」のスキルでどう強くなればいい~
古道 庵
ファンタジー
三年前に異世界へと落とされた高校生”才ノ木 育也(さいのき イクヤ)”。
そこで出会った”アレクセイ”という少年らと意気投合し、仲間たちと冒険者パーティーを結成する。
まだ十五歳前後の少年達は、異常な速度で強くなり二年足らずでベテラン達を押しのけ、ギルド内でトップを張るパーティーへと駆け上がる。
何故異常な成長を遂げたのか、それはイクヤの持つユニークスキル「才能開花」による影響だった。
瞬く間にAランクの実力にまで駆け上がったアレクセイ達だが、功労者のイクヤはそれに反して伸び悩んでいた。
そしてイクヤの無謀な行動を理由にパーティーを追放されてしまう。
イクヤは誓う……元仲間への復讐を。
……と、ここまではよくあるお話。
イクヤはここから劇的には強くなれない。そうは都合よく最強には上り詰められない。
だって現実はそんなもの。
これは彼の挫折の物語。
異世界で少年から青年へと成長し、上手くいかない現実の中でそれでも足掻き、知恵を絞り、自分の真価を求める。
そんな物語。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
クロワッサン物語
コダーマ
歴史・時代
1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。
第二次ウィーン包囲である。
戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。
彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。
敵の数は三十万。
戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。
ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。
内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。
彼らをウィーンの切り札とするのだ。
戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。
そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。
オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。
そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。
もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。
戦闘、策略、裏切り、絶望──。
シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。
第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
機械少女と霞んだ宝石達~The Mechanical Girl and the hazy Gemstones~
綿飴ルナ
ファンタジー
『一人前の魔女になる為の最終試練で探している師匠の魔力はどれも霞みがかっていた』
大地に魔力が宿るセカイ。
人々がまだ魔族の存在を知らない時代。
魔法の存在すらもほぼ知れ渡っていない時代で、機械少女のルナは魔女になる為に最終試練を受ける事になった。
最終試練、それは『大魔女と呼ばれたルナの師匠の魔力を探し出す事』
彼女の師匠の魔力を見つけた先にあったのは、魔力を宿した事で人の姿に擬態化した宝石だった。
*この物語は各エピソード毎に中心人物が変わる作品です。
*日常パートと名の付いたスローライフパート有。
*カクヨムでも同時連載中。
*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
*一部シーンに動物の姿をした者が人の食べる料理を食事する描写がございます。
*こちらの作品は作者が自分自身を見つめ、執筆の学びを得る為に執筆している作品です。
機械少女シリーズに関しての批評は御遠慮しておりますのでご理解のほど宜しくお願いします。
*作者の経験を違う形で散りばめ描写しているシーンが多いです。
繊細さ、世間とのズレによる孤立、精神疾患等、少々デリケートなものを取り扱っている作品となります。
自分を責め続け、生きることに疲れている方に、この作品が何らかの形で寄り添える事が出来ればと願っています。
至らない点があるかと思いますがご拝読いただけますと幸いです。
よろしくお願いします!
私の作品を無断で使用した方には法的処置をとります。
Do not use my artDo not use my art for AI training. Unauthorized use prohibited.

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる