402 / 449
another story
36
しおりを挟む
*
一ヶ月もすると、私の体調はもうほとんど元の状態までに回復していた。
「それで、ヴェールはもうそのまま西の村で彼らと暮らすのか…?」
「…それが…」
サリーは、困ったような顔をして言葉を濁した。
そのことについてはサリーは、ヴェールから何も聞いていないようだった。
しかし、考えてみればヴェールがここに帰って来る必要はない。
私はもう助かったのだし、彼は森の民の長だ。
これからは、村を守っていく立場にある。
森の民もヴェールのことを必要としているだろうし、それに私ももう魔石とは縁が切れたのだから、旅を続ける必要がないのだから。
「レヴ…
あんたはこれからどうするんだい?」
「私か…?
私は……」
サリーに問われ、これからのことを全く考えていなかったことに私は改めて気が付いた。
今となってはもうあの宝石商の老人を探す意味もない。
(そもそもあの老人は実在の人物だったのか…
それとも……!?)
「……そうだな…
では、まずは森の民にお礼を言いに行くか…」
「そうだね!
それは良いかもしれないね…!
あ…でも、ジネットはどうする?」
確かに、その問題があった。
ジネットを一人にするのは申し訳ないと思ったが、私達にはもう旅をする理由がない。
「……ジネットさんを一緒に連れて行くわけにはいかないし…
私達ももう旅を続けることはなくなったのだ。
ジネットさんにはそう言って分かれてもらうしかないだろうな…」
「そうだね…
かわいそうだけど、そうするしかないよね…
じゃ、いつ出発する?
体調は本当に大丈夫かい?」
「あぁ、私ならもうすっかり大丈夫だ。
そうだ…
ジネットさんには大変お世話になったことだし、彼女になにか贈り物をしよう。
私は何が良いのかよくわからないから、君が見たててくれるか?」
「良いよ!
じゃ、明日、町に行ってみよう!」
*
次の朝、私達はジネットへの贈り物を探しに町にでかけたが、小さな町のせいか、これといったものがなかなかみつからない。
「だめだねぇ…
ジネットに似合そうなものは何も売ってないね…」
「そうだな…少し大きな町にでもいかなくてはだめかもしれんな…」
宿に戻ると、そこにはヴェールの姿があった。
一ヶ月もすると、私の体調はもうほとんど元の状態までに回復していた。
「それで、ヴェールはもうそのまま西の村で彼らと暮らすのか…?」
「…それが…」
サリーは、困ったような顔をして言葉を濁した。
そのことについてはサリーは、ヴェールから何も聞いていないようだった。
しかし、考えてみればヴェールがここに帰って来る必要はない。
私はもう助かったのだし、彼は森の民の長だ。
これからは、村を守っていく立場にある。
森の民もヴェールのことを必要としているだろうし、それに私ももう魔石とは縁が切れたのだから、旅を続ける必要がないのだから。
「レヴ…
あんたはこれからどうするんだい?」
「私か…?
私は……」
サリーに問われ、これからのことを全く考えていなかったことに私は改めて気が付いた。
今となってはもうあの宝石商の老人を探す意味もない。
(そもそもあの老人は実在の人物だったのか…
それとも……!?)
「……そうだな…
では、まずは森の民にお礼を言いに行くか…」
「そうだね!
それは良いかもしれないね…!
あ…でも、ジネットはどうする?」
確かに、その問題があった。
ジネットを一人にするのは申し訳ないと思ったが、私達にはもう旅をする理由がない。
「……ジネットさんを一緒に連れて行くわけにはいかないし…
私達ももう旅を続けることはなくなったのだ。
ジネットさんにはそう言って分かれてもらうしかないだろうな…」
「そうだね…
かわいそうだけど、そうするしかないよね…
じゃ、いつ出発する?
体調は本当に大丈夫かい?」
「あぁ、私ならもうすっかり大丈夫だ。
そうだ…
ジネットさんには大変お世話になったことだし、彼女になにか贈り物をしよう。
私は何が良いのかよくわからないから、君が見たててくれるか?」
「良いよ!
じゃ、明日、町に行ってみよう!」
*
次の朝、私達はジネットへの贈り物を探しに町にでかけたが、小さな町のせいか、これといったものがなかなかみつからない。
「だめだねぇ…
ジネットに似合そうなものは何も売ってないね…」
「そうだな…少し大きな町にでもいかなくてはだめかもしれんな…」
宿に戻ると、そこにはヴェールの姿があった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
異界娘に恋をしたら運命が変わった男の話〜不幸の吹き溜り、薄幸の美姫と言われていた俺が、英雄と呼ばれ、幸運の女神と結ばれて幸せを掴むまで〜
春紫苑
恋愛
運命の瞬間は早朝。
泉から伸びる手に触れたことが、レイシールの未来を大きく変えた。
引き上げられた少女は、自らを異界人であると告げ、もう帰れないのかと涙をこぼした。
彼女を還してやるために、二人は共に暮らすこととなり……。
領主代行を務めるレイシールの、目下の課題は、治水。毎年暴れる河をどうにかせねば、領地の運営が危うい。
だが、彼の抱える問題はそれだけではない。
妾腹という出自が、レイシールの人生をひどく歪なものにしていた。
喪失の過去。嵐中の彼方にある未来。二人は選んだ道の先に何を得るのか!
不滅のティアラ 〜狂おしいほど愛された少女の物語〜
白銀一騎
ファンタジー
[リケジョ][三十路][独身][コミュ障]の咲子はブラック企業で働く研究員だった。ある日、会社が火事になり逃げ遅れた咲子は亡くなってしまった。異世界に転生してティアラという少女に生まれ変わった咲子は今度こそ幸せな人生を歩みたいと思い、これまで学んできた知識で様々な問題を解決していくことにより周りの人々は救われていつの間にか聖女様と崇められるようになった。一方でそんな咲子の活躍に危機感を募らせるアスペルド教団により命を狙われることになる。そんな咲子の窮地を素敵な男性たちが救ってくれて皆から愛され求婚される。そんな素敵な異世界恋愛物語ですので、気軽に読んで頂ければと思います。
【完結】神狐の巫女姫☆妖奇譚 ~封印された妖を逃がした陰陽の巫女姫、追いかけた隣大陸で仮面王子に恋しました~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
――やだ、封印の木札が割れちゃった!?
東開大陸を支配する和国皇族の末姫アイリーンは、封印された妖(あやかし)をうっかり逃してしまう。バレないうちに捕まえようと陰陽術を使い、夜中に禍狗(まがいぬ)の妖と戦い始めた。そんな彼女が魔物を追って侵入したのは、隣の大陸フルールのビュシェルベルジェール王家直轄の墓所だった!
「早く行ってっ! あなたがいたら全力を出せないわ」
「君を置いて行けない」
狐面で忍び込む御転婆姫と、仮面で応じる英雄王子。危険な場面で助け合いながらも、獲物の取り合いが始まる。皇家や王家の思惑も入り混じる中、ドタバタする彼と彼女の恋の行方は?!
※ハッピーエンド確定、どたばたコメディ風
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/04……完結
2024/03/04……エブリスタ、#ファンタジートレンド2位
2024/03/03……連載開始
田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
田舎貴族であるユウマ-バルムンクは、十五歳を迎え王都にある貴族学校に通うことになった。
最強の師匠達に鍛えられ、田舎から出てきた彼は知らない。
自分の力が、王都にいる同世代の中で抜きん出ていることを。
そして、その価値観がずれているということも。
これは自分にとって普通の行動をしているのに、いつの間にかモテモテになったり、次々と降りかかる問題を平和?的に解決していく少年の学園無双物語である。
※ 極端なざまぁや寝取られはなしてす。
基本ほのぼのやラブコメ、時に戦闘などをします。
私は魔法最強の《精霊巫女》でした。〜壮絶な虐めを受けてギルドをクビにされたので復讐します。今更「許してくれ」と言ってももう遅い〜
水垣するめ
ファンタジー
アイリ・ホストンは男爵令嬢だった。
しかし両親が死んで、ギルドで働くことになったアイリはギルド長のフィリップから毎日虐めを受けるようになった。
日に日に虐めは加速し、ギルドの職員までもアイリを虐め始めた。
それでも生活費を稼がなければなかったため屈辱に耐えながら働いてきたが、ある日フィリップから理不尽な難癖をつけられ突然ギルドをクビにされてしまう。
途方に暮れたアイリは冒険者となって生計を立てようとするが、Aランクの魔物に襲われた時に自分が《精霊巫女》と呼ばれる存在である事を精霊から教えられる。
しかも実はその精霊は最強の《四大精霊》の一角で、アイリは一夜にしてSランク冒険者となった。
そして自分をクビにしたギルドへ復讐することを計画する。
「許してくれ!」って、全部あなた達が私にしたことですよね? いまさら謝ってももう遅いです。
改訂版です。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
運命の出会いを経験してみた。
みららぐ
恋愛
付き合っていた彼氏に大金を奪われ浮気され散々な恋愛をしていた主人公。
そんな主人公、五十嵐鏡子(いがらしきょうこ)の目の前に、ある日超ハイスペックなイケメン、柳瀬修史(やなせしゅうじ)が現れた。
「どうせあたしとは釣り合わないから」
しかし鏡子はそう思って、修史との恋愛の展開は期待していなかったが…
「あなたには俺がいるから」
「…帰したく、ない」
「もうここまで来たんだから逃さないよ、俺」
何故かあの手この手で迫ってくる彼に、もう好きにならずにはいられない!?
ちょっと危険で大人な恋愛をご覧あれ!
わたしとあなたの世界は重なることがない
Another name
ファンタジー
怪力を持ち空を飛べる「飛天」と呼ばれる生き物であるエミは、人間として学校に通い友人もいる中学生。彼女がこの世で退治されることなく生きるため、幼いとき契約を結んだ同い年の少年・鉄哉とは兄妹同然に暮らしてきた。
しかし異能の持ち主である鉄哉がかつてした「エミは十七歳でこの世から消える」という予言、そして人間ではないことへのエミ自身の諦めと苛立ち、異世界からエミのもとに通ってくる謎の男『改源』の存在などから、二人の仲は次第にうまくいかなくなっていく。
やがて二人は成長して十七歳になり、エミは「その日」を迎えるのだが――。
同じ世界に生きるはずのなかった男女の、二十七年の物語。
(第3回創元ファンタジイ新人賞最終候補作)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる