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「今、お茶を……」

 「お待ち下さい!マイユ様!!」

 「マイユ様?
……ユスカさん、どういうことなのです?」

 「間違いありません!
このお方は、あなたのお祖母様にあたられるマイユ様です。」

ユスカは唇を震わせながら、ヴェールにそう話した。


 「そんな馬鹿な!
 祖母は、母がまだ幼い頃に亡くなったとおっしゃったではありませんか!」

 「……それが…正しくはそうではなかったのです。
ある時、マイユ様はまるで神隠しのようにいなくなられた。
イルヤナ様達は手を尽してマイユ様の行方を探されましたがとうとうみつからなかった…
マイユ様が幼いオルガ様を置いて村を出ること等考えられない…
おそらくは何か予期せぬ事故に見舞われお亡くなりになられたんだろうと…
皆、ずっとそのように信じて来たのです。
まさか、こうして生きておられたとは…
おぉ……」

ユスカは感激のあまり、号泣する。



 「……あの…一体何のことなのかしら…?
 私にはさっぱりわけがわかりません…」

ネリーは困惑した顔をヴェールの方に向けた。



 「ネリーさん、この方はユスカさん。
 髪と肌の色を変えていらっしゃいますが、彼もまた森の民なのです。
そして、あなたの本当の名前はマイユ。
あなたは、森の民の長·イルヤナ様の奥様で、あなたとイルヤナ様の間にはオルガという娘がいた…
そのオルガこそが、私の母なのです。」

 「なんですって…!
では、私はあなたの祖母だというの…?」

 「その通りです。
あなたは、母がまだ幼い頃になんらかの事故に遭われ記憶を失われたようです。」

ネリーは大きく見開いた瞳でヴェールの顔をじっとみつめ、そして、ゆっくりと頷いた。



 「……そうでしたか…
だから、あなたを初めて見た時からとても懐かしい想いがしたのですね…」

 「きっとそうなのでしょうね。
ところで、ネリーさん……今の話を聞いて、何か思い出すことはありませんでしたか?」

 「……ごめんなさい…
今はまだ何も思い出すことが出来ません…」

ネリーはすまなさそうに目を伏せ、頭を振った。



 「そうですか…
でも、焦ることはありませんよ。
 森の民の村へ行けば、何か思い出すことがあるかもしれません。
あなたが戻れば、彼等もどんなに喜ぶことか知れませんよ。」

 「お待ち下さい。」

そう言ったのはユスカだった。



 「森の民の村へお連れする前に、どうかレヴさんの所へ…!」

 「レヴさんの所へ…!?
レヴさんがどうかされたのですか?」
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