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 「…どうしよう、ヴェール…」

 「そうですね……」

 二人は、部屋の中で物思いに沈んでいた。



 「ねぇ、あんたのおばあちゃんがそんな力を持ってたんだったら、もしかしたらあんたにもその力が受け継がれてないのかな?!」

 「サリーさん…それは無理というものです。
 私には、誰の護り石かということさえ見分けがつかないのですよ…」

 「……でも…
それじゃあ、もう誰にもレヴを助けられないってことなのかい?
レヴは……レヴはこのまま、あの魔石に命を奪われてしまうっていうのかい?」

 「諦めてはいけません。
きっと、何か方法があるはずです…」

 「一体、どんな方法があるっていうんだよ!
もう思い付くことはなんでもやってきたじゃないか!
ここが……ここが最後の望みの地だったのに、それが駄目だったんじゃ、他に何が出来るっていうんだよ!!」

 「サリーさん…」

 取り乱し、泣きじゃくるサリーをヴェールはそっと抱き締めた。

 確かにサリーの言う通りなのだ。
もう、思い付く手だては何もない…

もしかしたら、今、この瞬間にもレヴが…

 …そんなことを考えると、ヴェールも叫び出したくなるのをこらえるのが精一杯だった。



しばらくすると、ヨンネが夕食の用意が出来たと二人を呼びに来た。
とてもじゃないが、食事をする気分になれず、二人が食事を断ると、今度はそれを心配したディサとユスカが部屋を訪ねた。



 「何か召しあがらないと…」

 「……食べたくないんだ…」

 「…では、お茶だけでも…」

しばらくすると、ヨンネが香りの良いお茶を運んできた。



 「どうぞ…これは、精神を落ち着かせてくれる薬草のお茶なのですよ。」

すすめられるままに、二人は素直にお茶をすすった。
 温かいお茶が身体の中に染み込んでくると、サリーの瞳からは熱い涙がぽろぽろと流れて落ちた。



 「サリーさん…」

ディサが優しくサリーの肩を抱き寄せる。 
 
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