上 下
374 / 449
another story

しおりを挟む
いつの間にか、あれから、一ヶ月近い月日が流れていた。
レヴは大丈夫なのだろうか…?
あの魔石が悪さをしかけてきて、レヴの身に何かが起こっていたら…

そんなことを考えると、サリーの胸は締め付けられ、叫び出しそうになった。
 不安でたまらない気持ちを懸命に押さえこんではいたが、夜になるとその想いは熱い涙となってこぼれ出る……

サリーはヴェールにそんな姿を悟られないように、声を殺して眠ってるふりをした。



 (神様……!
どうか、今度こそ森の民に会えますように…!
そして、レヴがあの魔石から救われますように…!)

サリーは毎晩、あの「星の石」に願いをこめて祈りを捧げた。



 (願いが叶う『星の石』
どうか、私の願いを聞き入れておくれ…!)



 *



 次の日、二人はこのあたりについての話を聞いて回った。
ずっと歩き通しで疲れているはずなのに、二人共まるで疲れを感じなかった。

ここで、光の途をみつけられなければ、また時間を無駄にしてしまう。
その強い想いが二人の疲れを忘れさせた。

 町の人々に話を聞いているうちに、二人はある老人から興味深い話を耳にした。
その老人がまだ幼い子供の頃、不思議な光る道を見たことがあるというものだ。
 誰もそんな話をする老人をまともに相手等していないようだったが、それこそがあの光の途に違いないと二人は感じた。
 老人にその場所を聞き、そしてついに満月の夜がやってきた。



 「では、いつものように、光の途を見つけたらすぐに呼ぶ子で合図することにしましょう!」

 「わかったよ!じゃ、あたしはこっちに行くね!」

 「はい、では、私はこちらへ。」

 二人は手分けをして、光の途を探しに走った。 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

【完結】婚約破棄された悪役令嬢は攻略対象のもふもふ従者に溺愛されます

かずきりり
ファンタジー
「レティシア・ミゼラ公爵令嬢!お前との婚約を破棄する!」 この一言で蘇った前世の記憶。 乙女ゲームの世界だと気が付いた時には、既に遅く、婚約破棄を宣言された後だった。 だけど……ゲームとたった一つだけ違うという事に気が付く。 それは、隠しルートである聖獣が断罪の場に居ない事。 ただ一つ されど一つ それだけでシナリオ回避出来るのではと思う反面、前世の影響と記憶のお陰で、貴族令嬢らしからぬ一歩を進みだす。 獣人を差別するこの世界で、獣人である従者と一緒に。 前世の記憶を取り戻した以上、貴族令嬢なんて重苦しいだけ! 一般庶民は自由に生きます! そんな悪役令嬢と反対にヒロイン達は………… -------------------- ※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

アリア

桜庭かなめ
恋愛
 10年前、中学生だった氷室智也は遊園地で迷子になっていた朝比奈美来のことを助ける。自分を助けてくれた智也のことが好きになった美来は智也にプロポーズをする。しかし、智也は美来が結婚できる年齢になったらまた考えようと答えた。  それ以来、2人は会っていなかったが、10年経ったある春の日、結婚できる年齢である16歳となった美来が突然現れ、智也は再びプロポーズをされる。そのことをきっかけに智也は週末を中心に美来と一緒の時間を過ごしていく。しかし、会社の1年先輩である月村有紗も智也のことが好きであると告白する。  様々なことが降りかかる中、智也、美来、有紗の三角関係はどうなっていくのか。2度のプロポーズから始まるラブストーリーシリーズ。  ※完結しました!(2020.9.24)

今世では溺れるほど愛されたい

キぼうのキ
ファンタジー
幼い頃両親を亡くし、親戚の家を転々としてきた青木ヨイは居場所がなかった。 親戚の家では煙たがられ、学校では親がいないという理由でいじめに合っていた。 何とか高校を卒業して、親戚の家を出て新しい生活を始められる。そう思っていたのに、人違いで殺されるなんて。 だが神様はヨイを見捨てていなかった。 もう一度、別の世界でチャンスを与えられた。 そこでのヨイは、大国のお姫様。 愛想、愛嬌、媚び。暗かった前世の自分に反省して、好かれるために頑張る。 そして、デロデロに愛されて甘やかされて、幸せになる!

異世界でゆるゆる生活を満喫す 

葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。 もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。 家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。 ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

勇者に幼馴染で婚約者の彼女を寝取られたら、勇者のパーティーが仲間になった。~ただの村人だった青年は、魔術師、聖女、剣聖を仲間にして旅に出る~

霜月雹花
ファンタジー
田舎で住む少年ロイドには、幼馴染で婚約者のルネが居た。しかし、いつもの様に農作業をしていると、ルネから呼び出しを受けて付いて行くとルネの両親と勇者が居て、ルネは勇者と一緒になると告げられた。村人達もルネが勇者と一緒になれば村が有名になると思い上がり、ロイドを村から追い出した。。  ロイドはそんなルネや村人達の行動に心が折れ、村から近い湖で一人泣いていると、勇者の仲間である3人の女性がロイドの所へとやって来て、ロイドに向かって「一緒に旅に出ないか」と持ち掛けられた。  これは、勇者に幼馴染で婚約者を寝取られた少年が、勇者の仲間から誘われ、時に人助けをしたり、時に冒険をする。そんなお話である

人生負け組のスローライフ

雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした! 俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!! ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。 じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。  ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。 ―――――――――――――――――――――― 第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました! 皆様の応援ありがとうございます! ――――――――――――――――――――――

処理中です...