361 / 449
15、黒曜石(希望)オブシディアン
6
しおりを挟む
「ま、まさか…サリーに何か……」
「レヴさん……
サリーさんは、夜明け前に私を連れ出し、あの滝へ連れて行きました。
東の森の近くでみつけたあの滝です。
そして、あなたの指輪を私に見せ、『星の石』が願いを叶えてくれたんだと微笑み……サリーさんはあなたの指輪を飲み込みました…
最後に、あなたに『もう大丈夫だ』と伝えてほしいと言い残し……そして、そして……そのまま、あの深い滝壷の中に……」
話し終えたヴェールの身体はガタガタと震えている。
西の塔の魔女がヴェールの肩をそっと抱き締めた。
私の頭は酷く混乱していた…
(……馬鹿な…それでは…サリーが死んだというのか?
あのサリーが…
あの元気なサリーが死ぬなんてありえない。
……そうか、わかった!
これは夢なのだ…
私は高熱にうなされ、悪い夢を見ているに違いない…きっと、そうなのだ…
もう一度目を閉じて、三つ数えて目を開ければ私はこの悪い夢から覚める……
こんな悪い夢…早く忘れなければ…!
一…二…三……!)
私が再び目を開けた時、目に映ったものはまるで変わらない光景だった。
小刻に震えながら涙を流し続ける痩せこけたヴェール……
そして、それをなぐさめるようにヴェールの肩を抱く西の塔の魔女……
そこには、やはりサリーはいない……
サリーはもうどこにもいない…
この世にはもういないのだ…
胸の鼓動が速くなり、汗が吹き出す。
(……サリーは……私の…私の身代わりに死んでしまった…!!)
「あぁぁぁぁぁ~~~!!」
私の叫び声が部屋の中に響き渡った。
「レヴさん……
サリーさんは、夜明け前に私を連れ出し、あの滝へ連れて行きました。
東の森の近くでみつけたあの滝です。
そして、あなたの指輪を私に見せ、『星の石』が願いを叶えてくれたんだと微笑み……サリーさんはあなたの指輪を飲み込みました…
最後に、あなたに『もう大丈夫だ』と伝えてほしいと言い残し……そして、そして……そのまま、あの深い滝壷の中に……」
話し終えたヴェールの身体はガタガタと震えている。
西の塔の魔女がヴェールの肩をそっと抱き締めた。
私の頭は酷く混乱していた…
(……馬鹿な…それでは…サリーが死んだというのか?
あのサリーが…
あの元気なサリーが死ぬなんてありえない。
……そうか、わかった!
これは夢なのだ…
私は高熱にうなされ、悪い夢を見ているに違いない…きっと、そうなのだ…
もう一度目を閉じて、三つ数えて目を開ければ私はこの悪い夢から覚める……
こんな悪い夢…早く忘れなければ…!
一…二…三……!)
私が再び目を開けた時、目に映ったものはまるで変わらない光景だった。
小刻に震えながら涙を流し続ける痩せこけたヴェール……
そして、それをなぐさめるようにヴェールの肩を抱く西の塔の魔女……
そこには、やはりサリーはいない……
サリーはもうどこにもいない…
この世にはもういないのだ…
胸の鼓動が速くなり、汗が吹き出す。
(……サリーは……私の…私の身代わりに死んでしまった…!!)
「あぁぁぁぁぁ~~~!!」
私の叫び声が部屋の中に響き渡った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる