十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

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15、黒曜石(希望)オブシディアン

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 身体がそのままゆっくりと沈みこんでいった…
深い深い水の中へ…

少しずつ…少しずつ…

もう疲れも感じない…
 ……とても満たされた気分だ…






良かった…










 (……ここは……!?)



 「あら、レヴさん……やっと気がついたのね!」 

 「…………あなたは…!」

 夢から覚めた私の目に映ったのは、あの西の塔の魔女だった。



 「おひさしぶりね…」

そう言いながら、西の塔の魔女は私の顔の汗をそっと拭ってくれた。



 「ご気分はいかが?
ようやく熱も下がったみたいね。」

 私の疲労感は大きかったが、気分はそれ程悪くはなかった。



 「はい。気分は悪くありません。
しかし、なぜあなたがここへ?」

 「それはまた後で……
今は身体の回復だけをお考えなさい。」

 「……はい。」



 目が覚めてからの私は、順調過ぎる程順調に回復していった。
 翌日には食欲も感じるようになり、食べられるようになるにつれ、私の身体はどんどん元の体力を取り戻していく。

この間、私の身の周りの世話をしていたのは西の塔の魔女だった。
 三日程経った頃、私の元にジネットが現れたが、酷くやつれた様子でほとんど話もせずに立ち去ってしまった。 
サリーとヴェールはまだ一度も姿を見せてはいない。
 私が西の塔の魔女に二人のことを尋ねると「あなたは、そんなことを気にかけるより、ご自分の身体のことを考えるべきよ。」と。
……ただ、そんなことを言われるばかりだった。 
 
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