345 / 449
14、銀星石(前に進む力)ワーベライト
21
しおりを挟む
「やっぱり、ここと南の森はほとんど同じ作りになってるんだね。」
「そのようだな。」
「じゃ、ここを抜けたら外に出るはずだね。」
身をかがめ、私達は洞窟の中へ入る。
暗い洞窟は人一人がやっと通れる程の狭さだ。
壁に手をつけながら慎重に進んでいくと、やがて真っ暗で何も見えなかった洞窟の中で、不意にサリーの短い叫び声が上がった。
「サリー?」
返事はなく、そのことでサリーがゆらめきの中に入ったことを悟った。
私達もすぐにサリーの後に続く。
「ここもやっぱり同じだよ。」
私が外に出るとそこはまた背の高いブッシュにすっぽりと覆われた場所だった。
すぐにヴェールも現れて、私達はブッシュを掻き分けながら、外へ進んだ。
「レヴ…この音、なんだろう?」
「近くに滝があるのではないだろうか?」
「滝……?あ!あれ、見て!」
サリーの指差す先には大きな滝があった。
「わぁ!あたし、あんな大きな滝は見たことないよ!
ねぇ、せっかくだから見ていこうよ。」
「サリーさん、まずは町に戻って……」
「そうだな…行ってみよう。」
ヴェールは、きっと私の体調を考え、町に戻ろうと言おうとしたのだ。
だが、それに従えば私が酷く疲れていることを悟られてしまう。
だから、私はあえて滝に行こうと答えた。
滝へは思ったよりも時間がかかった。
すぐ近くに見えたのに、実際はそれほど近くはなかったのだ。
私の疲労の度合いは限界に近かった。
「……とても美しい所だな…」
私は平静を装った。
水量はそれほどはないが、高さがあるためか水しぶきが霧のようにたちこめている。
緑色の滝壺は、かなりの深さがあることを感じさせた。
「まるで、龍でも住んでいそうな滝壺だな。」
「……龍?」
「知らないのか?
東洋の伝説の生き物だ。
ドラゴンみたいなものだな。」
「あぁ…確かにそうだね。
そんなのがぬーっと現れそうな雰囲気あるね。」
水面はとても穏やかだが、深く碧い滝壺は、そんなことを想像させる神秘的な美しさをしていた。
私達は魅入られたようにしばらく黙って滝を眺め続けた。
「そのようだな。」
「じゃ、ここを抜けたら外に出るはずだね。」
身をかがめ、私達は洞窟の中へ入る。
暗い洞窟は人一人がやっと通れる程の狭さだ。
壁に手をつけながら慎重に進んでいくと、やがて真っ暗で何も見えなかった洞窟の中で、不意にサリーの短い叫び声が上がった。
「サリー?」
返事はなく、そのことでサリーがゆらめきの中に入ったことを悟った。
私達もすぐにサリーの後に続く。
「ここもやっぱり同じだよ。」
私が外に出るとそこはまた背の高いブッシュにすっぽりと覆われた場所だった。
すぐにヴェールも現れて、私達はブッシュを掻き分けながら、外へ進んだ。
「レヴ…この音、なんだろう?」
「近くに滝があるのではないだろうか?」
「滝……?あ!あれ、見て!」
サリーの指差す先には大きな滝があった。
「わぁ!あたし、あんな大きな滝は見たことないよ!
ねぇ、せっかくだから見ていこうよ。」
「サリーさん、まずは町に戻って……」
「そうだな…行ってみよう。」
ヴェールは、きっと私の体調を考え、町に戻ろうと言おうとしたのだ。
だが、それに従えば私が酷く疲れていることを悟られてしまう。
だから、私はあえて滝に行こうと答えた。
滝へは思ったよりも時間がかかった。
すぐ近くに見えたのに、実際はそれほど近くはなかったのだ。
私の疲労の度合いは限界に近かった。
「……とても美しい所だな…」
私は平静を装った。
水量はそれほどはないが、高さがあるためか水しぶきが霧のようにたちこめている。
緑色の滝壺は、かなりの深さがあることを感じさせた。
「まるで、龍でも住んでいそうな滝壺だな。」
「……龍?」
「知らないのか?
東洋の伝説の生き物だ。
ドラゴンみたいなものだな。」
「あぁ…確かにそうだね。
そんなのがぬーっと現れそうな雰囲気あるね。」
水面はとても穏やかだが、深く碧い滝壺は、そんなことを想像させる神秘的な美しさをしていた。
私達は魅入られたようにしばらく黙って滝を眺め続けた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる