十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
265 / 449
12、黒蝶貝(美しい契り)ブラックマザーオブパール

しおりを挟む
「こんにちは!
どなたかいらっしゃいませんか?
こちらは、シャルロさんのお店でしょうか?」

 私が声をかけると扉の奥で物音がして、一人の体格の良い男が姿を現した。



 「誰だい?
いかにもここはシャルロの店だが……」

 「シャルロさんですか?
 実は私は……」

 「わかった、わかった。
それ以上何も言わなくても良い…
あんた…大変なことになっちまったな… 」

 「あの…私は……」

 「その石のことで相談に来たんだろう?」

シャルロは私のアマゾナイトの指輪を凝視しながら、そう言った。



 「いえ……
私はこの石ではないある石と伝説についてお尋ねしたいことがあったのですが…
この石が何か…?」

シャルロはアマゾナイトの指輪をみつめながら、困惑したような顔をしてそのまま黙りこむ。
やがて、ブツブツと独り言を言ったかと思うと、私の方に向き直った。



 「わかった!
なら、その話は今はやめておこう。
で、聞きたいことってのは何だね?」

そう言われると妙に気になったが、まずは肝心なことを聞いてから、その後でアマゾナイトのことを聞くことにしよう…
そう考え、私は話を始めた。



 「シャルロさん、初めまして。
 私はレヴと申す者です。
 各地の伝承や石について研究をしております。
 最近、アベルさんと知り合い、あなたがその道についてとてもお詳しいと聞き、お話を伺いにまいりました。」

 「アベルの知り合いかね!
アベルともずいぶん会っちゃいないが、奴は元気にしてるかね?」

 「ええ、お元気です。
つい昨日まで一緒だったのです。
 今頃はお母上の所へ帰られている途中だと思います。」

 「そうか~…
あいつもついに落ち着く気になったか。
そいつは良かったな。
 俺もあいつのことはいつも気にかかっててな。
 良い報せをありがとうよ。
それで、あんたは何について知りたいんだね?」 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

78~運命のカード

ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
一流の占い師を目指すダニエルは、ある時、おかしな老人に一組のカードをもらった。 それは、ダニエルの人生を大きく変える世にも珍しいカードだった… ※表紙画は、蓮冶様に描いていただきました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界で一番の紳士たれ!

だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。 リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。 リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。 異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。

【キャラ文芸大賞 奨励賞】変彩宝石堂の研磨日誌

蒼衣ユイ/広瀬由衣
ミステリー
矢野硝子(しょうこ)の弟が病気で死んだ。 それからほどなくして、硝子の身体から黒い石が溢れ出すようになっていた。 そんなある日、硝子はアレキサンドライトの瞳をした男に出会う。 アレキサンドライトの瞳をした男は言った。 「待っていたよ、アレキサンドライトの姫」 表紙イラスト くりゅうあくあ様

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...