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11、血玉石(救いの力)ブラッドストーン

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「それが……あなた達を追ってこちらへ来る途中で、ちょうど運良くジェムストーンさんにお会いしまして…」

 「それだ!!」

サリーが突然大きな声をあげた。



 「何が、それなのだ?」

 「忘れてた名前だよ!男の名前は『ジェムストーン』だったんだよ。」

 「俺がどうかしたかい?」


 振り返るとそこには水汲みから帰ったジェムストーンが立っていた。



 「この人達がお仲間なんだな?」

 「ええ、この方達もつい今しがた、ここへ来られた所なのです。」

 「そうかい。
そりゃ良かったな。
 今夜は賑やかになりそうだな。」

 夕食は一応すませてはいたが、せっかくだからということで、私達もなんとなく食べ物を口に運んだ。
だが、相変わらず、ジネットの食は細い。



 「あんた、もう食べないのかい?」

 「お気になさらないで。
 私はもともと少食なんです。」

 「あたしなんかとは違って、ジネットはお上品なんだよ。」

サリーのいやみに、誰も何も言わなかった。

ジネットの何かが、サリーのカンに触るらしいことは私も気づいてはいたが、しかし、それを咎めるとまたややこしいことになりそうだと考え、私はあえて聞かないふりを決めこんだ。



 「それにしても、大変な場所だな、ここは……」

 「そうですね。
あの地図でよくたどり着けたものですね。」

 私とヴェールは、他愛ない会話を交わす。



 「街の噂では偏屈な男だって聞いてたけど、全然そんなことないね。
これならレヴの方がずっと偏屈だね。」

 私達の隣では、サリーとジェムストーンが話していた。



 「そうか。
 俺は思った以上に、評判が悪いんだな。
じゃ、これからは評判通りにもっと偏屈にならないと申し訳ないな。」

 「そうだね!
うちのあの兄さんの真似をしてたら、すぐに立派な偏屈になれるよ。」

そんなつまらない冗談に、二人は大きな声で笑う。

 私はヴェールと話しながら、二人の話は聞こえない振りをして平静を保った。 
 
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