十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

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11、血玉石(救いの力)ブラッドストーン

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「あれ?ヴェールは?」

 「彼なら心配いらない。
それより、君は大丈夫なのか?」

 私が手を引こうとしたら、サリーはその手を払いのけた。



 「やめとくれ!子どもじゃないんだから!
 私なら大丈夫さ!」

 「……そうか。無理をせぬようにな。」

 私はサリーにあわせ、ゆっくりとした歩調で歩んだ。
それでもサリーの疲労はすでに限界近くに達していた。
 時々立ち止まり、息を整える。

さらにしばらくすると、狭い場所にしゃがみこむようになった。
あたりはもう真っ暗だ。



 (……困ったことになった…)

サリーを背負って進もうかと私が考えた時、遠くからのヴェールの声が耳に届いた。

サリーもその声で勇気付けられたのか、すっくと立ち上がり、程なくして私達はヴェールと合流した。



 「あと少し進むと拓けた場所に出ます。頑張って下さい!
それから、サリーさん、これを!」

 暗くて良くは見えない中、ヴェールはなにやら丸くて小さなものをサリーの手の平に乗せた。



 「そのまま食べて下さい。」

 「何?これ?」

 「元気が出る木の実ですよ。」

ヴェールに言われるままに、サリーは木の実を口に放り込んだ。



 「すっぱーーーい!!」

サリーは泣きそうな声を上げ、あわてて水を飲み、酸っぱい木の実を流し込んだ。



 「ひどいよ、ヴェール!
こんなに酸っぱい木の実だなんて!」

 「でも、この木の実は昔から元気が出る実だと言われているのですよ。」

 「本当かい?
あぁ~、まだ口の中に酸っぱいのが残ってるよ!」

サリーはぶつぶつと文句を言っていたが、言い伝えは本当だったらしく、その後のサリーは少し元気を取り戻した様子で順調に歩くことが出来た。
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