236 / 449
11、血玉石(救いの力)ブラッドストーン
5
しおりを挟む
やはり、明日の朝早くから出発するべきだったと私は後悔した。
ジネットをあまり待たせては気の毒だから少しでも早くと思い、そのまま出発したのだが、このあたりには腰を降ろして休むことの出来る場所すらないのだ。
そんな道程が続く中、皆の疲労は増すばかり。
中でもサリーはずいぶんと弱っていた。
前回のマリアの家の近くでのことが脳裏をかすめた。
また、あんなことにならなければ良いのだが……
「サリー、大丈夫か…?」
「大丈夫じゃないさ!でも、歩かなきゃ仕方ないじゃないか!」
「慌てることはない。ゆっくり行こう…」
私はそうは言いながらも、心の中では焦っていた。
これ以上暗くなっては進むのも危険だ。
もし、道を誤り足を踏み外し運悪く谷底にでも落ちてしまったら、命さえ落としかねない。
私はヴェールに耳打ちをした。
「私が先に行き、様子を見てくる。
君はサリーを連れて後から来てくれないだろうか?」
「それなら、私が見てきます。
私は暗い森で育ったおかげであなた方よりずっと夜目が効くのです。」
「そうか。ならばお願いしよう。
頼んだぞ。気を付けてな。」
ジネットをあまり待たせては気の毒だから少しでも早くと思い、そのまま出発したのだが、このあたりには腰を降ろして休むことの出来る場所すらないのだ。
そんな道程が続く中、皆の疲労は増すばかり。
中でもサリーはずいぶんと弱っていた。
前回のマリアの家の近くでのことが脳裏をかすめた。
また、あんなことにならなければ良いのだが……
「サリー、大丈夫か…?」
「大丈夫じゃないさ!でも、歩かなきゃ仕方ないじゃないか!」
「慌てることはない。ゆっくり行こう…」
私はそうは言いながらも、心の中では焦っていた。
これ以上暗くなっては進むのも危険だ。
もし、道を誤り足を踏み外し運悪く谷底にでも落ちてしまったら、命さえ落としかねない。
私はヴェールに耳打ちをした。
「私が先に行き、様子を見てくる。
君はサリーを連れて後から来てくれないだろうか?」
「それなら、私が見てきます。
私は暗い森で育ったおかげであなた方よりずっと夜目が効くのです。」
「そうか。ならばお願いしよう。
頼んだぞ。気を付けてな。」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ある横柄な上官を持った直属下士官の上官並びにその妻観察日記
karon
ファンタジー
色男で女性関係にだらしのない政略結婚なら最悪パターンといわれる上官が電撃結婚。それも十六歳の少女と。下士官ジャックはふとしたことからその少女と知り合い、思いもかけない顔を見る。そして徐々にトラブルの深みにはまっていくが気がついた時には遅かった。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる