229 / 449
10、蛍石(秘密の恋)フローライト
29
しおりを挟む
「サリー、疲れたのではないか。
今夜は早めに休んだ方が良いな。」
「あたしは全然疲れてなんていないさ!」
これ以上雰囲気が悪くならないようにと考えて私はそう言ったのだが、簡単に突っぱねられてしまった。
「サリーさんや、あんた、酒は好きかの?」
「え?」
「蛍石のお礼に一杯おごらせてもらいたいんじゃが…
この近くに小さな酒場があるらしいんじゃ。
行ってみないか?」
「酒は嫌いじゃないけど…でも、あたし、酒は……」
サリーは口ごもりながら、私の方に視線を移した。
「良かったではないか。
フランツさんと少し飲んで来ると良い。」
「だって……」
「そうだ、サリー。ついでにこの近くに大きな町がないか、聞いて来てくれ。
蛍石のことも頼んだぞ。
私は今日は疲れたから、早めに休ませてもらう。
フランツさん、サリーのことをどうぞよろしくお願いします。」
「はいはい。じゃ、サリーさん、行こうかの。」
サリーはフランツに手を引かれ、酒場へとでかけて行き、私はほっと胸を撫で下ろした。
「レヴさん、申し訳ありません。
私のせいでサリーさんを怒らせてしまって…」
「気にすることはありません。
あなたが悪いわけじゃない。
サリーも明日にはけろっとしてますよ。」
「そうですよ。
サリーさんは気の強い所もありますが、本当はとても優しい人なんですよ。」
「わかってますわ…」
口ではそう言いながらも、ジネットはやはりさっきのことを気に病んでいるようだった。
「あなたもお疲れになったでしょう。
今夜は早めに休まれた方が良い。」
「ありがとうございます。
それから…明日からどうぞよろしくお願いします。
同行することを許していただいて、とても感謝していますわ。」
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
私とヴェールは夜中まで起きていたが、フランツとサリーは結局明るくなるまで戻っては来なかった。
今夜は早めに休んだ方が良いな。」
「あたしは全然疲れてなんていないさ!」
これ以上雰囲気が悪くならないようにと考えて私はそう言ったのだが、簡単に突っぱねられてしまった。
「サリーさんや、あんた、酒は好きかの?」
「え?」
「蛍石のお礼に一杯おごらせてもらいたいんじゃが…
この近くに小さな酒場があるらしいんじゃ。
行ってみないか?」
「酒は嫌いじゃないけど…でも、あたし、酒は……」
サリーは口ごもりながら、私の方に視線を移した。
「良かったではないか。
フランツさんと少し飲んで来ると良い。」
「だって……」
「そうだ、サリー。ついでにこの近くに大きな町がないか、聞いて来てくれ。
蛍石のことも頼んだぞ。
私は今日は疲れたから、早めに休ませてもらう。
フランツさん、サリーのことをどうぞよろしくお願いします。」
「はいはい。じゃ、サリーさん、行こうかの。」
サリーはフランツに手を引かれ、酒場へとでかけて行き、私はほっと胸を撫で下ろした。
「レヴさん、申し訳ありません。
私のせいでサリーさんを怒らせてしまって…」
「気にすることはありません。
あなたが悪いわけじゃない。
サリーも明日にはけろっとしてますよ。」
「そうですよ。
サリーさんは気の強い所もありますが、本当はとても優しい人なんですよ。」
「わかってますわ…」
口ではそう言いながらも、ジネットはやはりさっきのことを気に病んでいるようだった。
「あなたもお疲れになったでしょう。
今夜は早めに休まれた方が良い。」
「ありがとうございます。
それから…明日からどうぞよろしくお願いします。
同行することを許していただいて、とても感謝していますわ。」
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
私とヴェールは夜中まで起きていたが、フランツとサリーは結局明るくなるまで戻っては来なかった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった
盛平
ファンタジー
パティは教会に捨てられた少女。パティは村では珍しい黒い髪と黒い瞳だったため、村人からは忌子といわれ、孤独な生活をおくっていた。この世界では十歳になると、神さまから一つだけ魔法を授かる事ができる。パティは神さまに願った。ずっと側にいてくれる友達をくださいと。
神さまが与えてくれた友達は、犬、猫、インコ、カメだった。友達は魔法でパティのお願いを何でも叶えてくれた。
パティは友達と一緒に冒険の旅に出た。パティの生活環境は激変した。パティは究極の妹属性だったのだ。冒険者協会の美人受付嬢と美女の女剣士が、どっちがパティの姉にふさわしいかケンカするし、永遠の美少女にも気に入られてしまう。
ぼっち少女の愛されまくりな旅が始まる。
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
異界娘に恋をしたら運命が変わった男の話〜不幸の吹き溜り、薄幸の美姫と言われていた俺が、英雄と呼ばれ、幸運の女神と結ばれて幸せを掴むまで〜
春紫苑
恋愛
運命の瞬間は早朝。
泉から伸びる手に触れたことが、レイシールの未来を大きく変えた。
引き上げられた少女は、自らを異界人であると告げ、もう帰れないのかと涙をこぼした。
彼女を還してやるために、二人は共に暮らすこととなり……。
領主代行を務めるレイシールの、目下の課題は、治水。毎年暴れる河をどうにかせねば、領地の運営が危うい。
だが、彼の抱える問題はそれだけではない。
妾腹という出自が、レイシールの人生をひどく歪なものにしていた。
喪失の過去。嵐中の彼方にある未来。二人は選んだ道の先に何を得るのか!
異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)
愛飢男
ファンタジー
最強の攻撃、それ即ち超硬度超質量の物体が超高速で激突する衝撃力である。
ってことは……大型トラックだよね。
21歳大型免許取り立ての久里井戸玲央、彼が仕事を終えて寝て起きたらそこは異世界だった。
勇者として召喚されたがファンタジーな異世界でトラック運転手は伝わらなかったようでやんわりと追放されてしまう。
追放勇者を拾ったのは隣国の聖女、これから久里井戸くんはどうなってしまうのでしょうか?
『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する
はにわ
ファンタジー
主人公ゴウキは幼馴染である女勇者クレアのパーティーに属する前衛の拳闘士である。
スラムで育ち喧嘩に明け暮れていたゴウキに声をかけ、特待生として学校に通わせてくれたクレアに恩を感じ、ゴウキは苛烈な戦闘塗れの勇者パーティーに加入して日々活躍していた。
だがクレアは人の良い両親に育てられた人間を疑うことを知らずに育った脳内お花畑の女の子。
そんな彼女のパーティーにはエリート神官で腹黒のリフト、クレアと同じくゴウキと幼馴染の聖女ミリアと、剣聖マリスというリーダーと気持ちを同じくするお人よしの聖人ばかりが揃う。
勇者パーティーの聖人達は普段の立ち振る舞いもさることながら、戦いにおいても「美しい」と言わしめるスマートな戦いぶりに周囲は彼らを国の誇りだと称える。
そんなパーティーでゴウキ一人だけ・・・人を疑い、荒っぽい言動、額にある大きな古傷、『拳鬼』と呼ばれるほどの荒々しく泥臭い戦闘スタイル・・・そんな異色な彼が浮いていた。
周囲からも『清』の中の『濁』だと彼のパーティー在籍を疑問視する声も多い。
素直過ぎる勇者パーティーの面々にゴウキは捻くれ者とカテゴライズされ、パーティーと意見を違えることが多く、衝突を繰り返すが常となっていた。
しかしゴウキはゴウキなりに救世の道を歩めることに誇りを持っており、パーティーを離れようとは思っていなかった。
そんなある日、ゴウキは勇者パーティーをいつの間にか追放処分とされていた。失意の底に沈むゴウキだったが、『濁』なる存在と認知されていると思っていたはずの彼には思いの外人望があることに気付く。
『濁』の存在である自分にも『濁』なりの救世の道があることに気付き、ゴウキは勇者パーティーと決別して己の道を歩み始めるが、流れに流れいつの間にか『マフィア』を率いるようになってしまい、立場の違いから勇者と争うように・・・
一方、人を疑うことのないクレア達は防波堤となっていたゴウキがいなくなったことで、悪意ある者達の食い物にされ弱体化しつつあった。
この恋、腐れ縁でした。
氷室ユリ
恋愛
大嫌いから始まった恋は愛へと進み、ようやく私達の第二ステージが幕を開ける。けれど、そう簡単にラブラブ生活は始まってくれない。だってやっぱりこの人は…一筋縄では行かないのだ。
彼から贈られた念願のリングはあり得ない悲劇を呼ぶし、因縁の宿敵との対決を果たしてもなお、私達を待ち受けるのは究極の悲劇!なになに?やっぱり私ってば悲劇を呼ぶ女?でもご心配なく。高い壁ほど乗り越え甲斐があるってもの。どんなに衝突し合っても、今や私達は腐れ縁の最強カップル。この人がいれば、私は無敵だ!
※『大嫌いは恋の始まり』(キャラ文芸)の続編となりますが、こちらからでも楽しくお読みいただけます。(本作品は恋愛要素が強いので「恋愛」へカテゴリ変更しました。)
※時事ネタが随所に登場しますが、内容は全てフィクションです。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
異世界子ども食堂:通り魔に襲われた幼稚園児を助けようとして殺されたと思ったら異世界に居た。
克全
児童書・童話
両親を失い子ども食堂のお世話になっていた田中翔平は、通り魔に襲われていた幼稚園児を助けようとして殺された。気がついたら異世界の教会の地下室に居て、そのまま奴隷にされて競売にかけられた。幼稚園児たちを助けた事で、幼稚園の経営母体となっている稲荷神社の神様たちに気に入られて、隠しスキルと神運を手に入れていた田中翔平は、奴隷移送用馬車から逃げ出し、異世界に子ども食堂を作ろうと奮闘するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる