十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
212 / 449
10、蛍石(秘密の恋)フローライト

12

しおりを挟む
「ネリーさんも森の民の住む村がみつかったら、そこに来て一緒に住めば良いじゃん!」

 「森の民の村?」

 「そうなんです。
 彼らは、この世界とは少し違う場所に住んでいるようです。
 私達は情報を集め、ようやくみつけたと思ったその場所には、すでにもう誰もいなくなっていたのです。」

 「誰も…?」

ネリーの顔に不安そうな表情が浮かんだ。



 「おそらく、なんらかの理由によって新しい土地へ移ったのだと思います。
 村は荒らされたような様子はまるでありませんでしたから、彼らに何かがあったということではないと思います。
 私達は今、その場所を探してあちらこちらを旅しているのです。」

 「……そうでしたか。」

 「ここは、前に森の民が住んでた南の森に似てるから、ここへ来れば何か手掛りがみつかるんじゃないかと思ったんだよ。」

 「ここはその場所に似ているのですか!?」

ネリーは、サリーの言葉に興奮したように質問を重ねる。



 「似てるよ~!
これで、あと鉱山があればそっくりだよ!」

 「そうだったのですか…
だから、この場所はこんなに落ち着くのですね…
でも、このあたりには鉱山なんてものはないと思いますが…」

 「やはり、そうですか…
南の森へは光の途と呼ばれる満月だけに輝く途を通って行くのですが、ここではないだろうとは思っていたのですが、念のため、満月の日を待って確認した所だったのです。」

 「そうだったんですか。
 私もそのようなものは今まで見たことがありません。」

 「やはり……
でも、必ずみつけます。
そして、その時は、ネリーさん、必ず、あなたを迎えに来ますからね。」

 「ヴェールさん…ありがとうございます。
 私、その日を信じて待っています。」

その晩、私達はネリーの家に泊めてもらうことになった。
ネリーの手料理でもてなされ、私達は遅くまで話をした。
 殊にヴェールとネリーは明け方近くまで話が尽きることがなかった。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...