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10、蛍石(秘密の恋)フローライト

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「そうか…
しかし、彼らがここに来たのはもう何日も前になる。
 今からでは追い付けるかどうか…
そうでなくとも森は広い。
あんた、足をけがしてるようだがそんな足で大丈夫かね?」

 「ええ!私なら大丈夫ですわ。
 山の中で育ちましたから方向感覚にも自信があります。
なんとしてもみつけなければならないのです…!
 私が頼れるのはあの方達しかいないのですから。」

 「そうか…なら先回りをしてみるかね?」

 「先回り?」

 「いや、それも運次第なんじゃが、森を迂回して川を舟で進めば森を歩いて行くよりもずいぶんと早くに向こうの山のふもとまで行けるはずじゃ。
いや、わしも行ったことはまだないんじゃ。
ただ、彼らがその方角に出て来るかどうかはわからんのじゃ。
 森の奥がどうなってるか、わしにはわからんからのう。
それでも良ければ案内するがどうしなさるかね?」

ジネットは迷った。
もしここで会えなかったら、この先の手がかりはますます少なくなる。
 本当なら森の中を歩いて進みたいが、この足ではますます彼らとの距離を大きくしてしまいそうだった。
ここは、賭けに出るしかない。
ジネットは首から下げたキャストライトの袋をぎゅっと握り締めた。



 (父様…森の長様…!
どうか、ヴェールさん達に会えますように…!)

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