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10、蛍石(秘密の恋)フローライト

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フランツの家までは、宿でに聞いた通り、けっこう険しい道程だった。

 (こんなことなら、杖でも持ってくるんだったわ…)

 息をきらしながら歩き続け、ようやくジネットはフランツの小屋らしきものを発見した。
 早速、声をかけるが中には誰もいない。
 気が抜けた途端にジネットは激しい疲労感に襲われ、家の前に座って休んでいると、しばらくして一人の老人が現れた。



 「あ、あの…もしかしたら、フランツさんでしょうか?」

 「いかにも、わしはフランツじゃが、あんたは…?」

 「私はジネットと申します。
 実はヴェールさん達を探しているのですが…こちらにヴェールさんは……」

 「あぁ、あんた、ヴェールさん達の友達かね?」

フランツのその返事で、ヴェール達がここに来たことを確信し、ジネットは胸を撫で下ろした。



 (良かった。やはりヴェールさん達はここに来られてたんだわ。
 早く次の行き先を聞かなくては!)



 「……友達…というわけではないのですが…
ちょっとしたご縁で知り合いまして……」

 「そうかい。
ま、とにかく中へ入んな。
ここまで来るのはきつかったじゃろ。」 

フランツはジネットを食卓につかせると台所に入り、温かいお茶でもてなした。
お茶をすすりながら、気さくに話すフランツに、緊張していたジネットの気持ちも一気にほぐれだ。


 
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