175 / 449
9、十字石(中心的な存在)スタウロライト
5
しおりを挟む
私とヴェールは体格も雰囲気もどこかしら似ていたために、私達は宿の者に兄弟だと偽った。
それは冗談ではなく、その方が、なにかと自然に思われると考えたからだ。
今回、ヴェールは思いきって黒眼鏡と手袋をはずしてみたのだが、誰にも不審な顔をされることはなかった。
ヴェールの目はすでに黒眼鏡なしでも太陽の眩しさに耐えられるようになっていた。
髪の色も近頃では本来の色が分からないほどに黒くなっていたので、帽子もかぶらなくとも大丈夫だろうと思ったのだが、ヴェールがまだ不安がるので帽子はそのままにしておいた。
その夜、私達はこれからのことを話しあった。
今すべきこと…いや、今出来ることは森の民についての情報を集める事だけなのだが、その方法を考えなければならない。
あちらこちらで、森の民のことを聞いてまわっていれば、そのうちに怪しい三人組と思われ、情報が探りにくくなるだろう。
「何か、もっともらしい言い訳はないものか…」
「じゃあさ、森の民に昔世話になったことがあるとかはどう…?」
「森の民のこと自体、ただの伝説のように思っている者も多いのだぞ。
そんなことを言えば、おかしな奴だと思われるのが落ちだ。」
「う~ん、そっか~…
じゃ、あたし達はトレジャーハンターで、伝説のお宝を探してるんだとか……」
「そうだな…
もっともらしい理由といえば、やはり、そんな所しかないか……
そして、その宝に森の民の伝説が関わっているふりをして……」
それならなんとか話の辻褄は合いそうだ。
「……それにしても、あたしはともかく、あんたら二人はどう見てもトレジャーハンターって柄じゃないけどね。」
「…そうですね。レヴさんはそういうタイプでは……
……あ!」
「どうかした?」
「良いことを思い付きました!
レヴさんは、各地の伝説や民話を研究している学者だということにしてはいかがでしょう?」
「なるほど!それは似合ってるかもしれないね!
レヴなら学者に見えるよ、きっと!」
サリーがヴェールの意見に膝を叩いた。
それは冗談ではなく、その方が、なにかと自然に思われると考えたからだ。
今回、ヴェールは思いきって黒眼鏡と手袋をはずしてみたのだが、誰にも不審な顔をされることはなかった。
ヴェールの目はすでに黒眼鏡なしでも太陽の眩しさに耐えられるようになっていた。
髪の色も近頃では本来の色が分からないほどに黒くなっていたので、帽子もかぶらなくとも大丈夫だろうと思ったのだが、ヴェールがまだ不安がるので帽子はそのままにしておいた。
その夜、私達はこれからのことを話しあった。
今すべきこと…いや、今出来ることは森の民についての情報を集める事だけなのだが、その方法を考えなければならない。
あちらこちらで、森の民のことを聞いてまわっていれば、そのうちに怪しい三人組と思われ、情報が探りにくくなるだろう。
「何か、もっともらしい言い訳はないものか…」
「じゃあさ、森の民に昔世話になったことがあるとかはどう…?」
「森の民のこと自体、ただの伝説のように思っている者も多いのだぞ。
そんなことを言えば、おかしな奴だと思われるのが落ちだ。」
「う~ん、そっか~…
じゃ、あたし達はトレジャーハンターで、伝説のお宝を探してるんだとか……」
「そうだな…
もっともらしい理由といえば、やはり、そんな所しかないか……
そして、その宝に森の民の伝説が関わっているふりをして……」
それならなんとか話の辻褄は合いそうだ。
「……それにしても、あたしはともかく、あんたら二人はどう見てもトレジャーハンターって柄じゃないけどね。」
「…そうですね。レヴさんはそういうタイプでは……
……あ!」
「どうかした?」
「良いことを思い付きました!
レヴさんは、各地の伝説や民話を研究している学者だということにしてはいかがでしょう?」
「なるほど!それは似合ってるかもしれないね!
レヴなら学者に見えるよ、きっと!」
サリーがヴェールの意見に膝を叩いた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
78~運命のカード
ルカ(聖夜月ルカ)
ファンタジー
一流の占い師を目指すダニエルは、ある時、おかしな老人に一組のカードをもらった。
それは、ダニエルの人生を大きく変える世にも珍しいカードだった…
※表紙画は、蓮冶様に描いていただきました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
異世界で一番の紳士たれ!
だんぞう
ファンタジー
十五歳の誕生日をぼっちで過ごしていた利照はその夜、熱を出して布団にくるまり、目覚めると見知らぬ世界でリテルとして生きていた。
リテルの記憶を参照はできるものの、主観も思考も利照の側にあることに混乱しているさなか、幼馴染のケティが彼のベッドのすぐ隣へと座る。
リテルの記憶の中から彼女との約束を思いだし、戸惑いながらもケティと触れ合った直後、自身の身に降り掛かった災難のため、村人を助けるため、単身、魔女に会いに行くことにした彼は、魔女の館で興奮するほどの学びを体験する。
異世界で優しくされながらも感じる疎外感。命を脅かされる危険な出会い。どこかで元の世界とのつながりを感じながら、時には理不尽な禍に耐えながらも、自分の運命を切り拓いてゆく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
機械少女と霞んだ宝石達~The Mechanical Girl and the hazy Gemstones~
綿飴ルナ
ファンタジー
『一人前の魔女になる為の最終試練で探している師匠の魔力はどれも霞みがかっていた』
大地に魔力が宿るセカイ。
人々がまだ魔族の存在を知らない時代。
魔法の存在すらもほぼ知れ渡っていない時代で、機械少女のルナは魔女になる為に最終試練を受ける事になった。
最終試練、それは『大魔女と呼ばれたルナの師匠の魔力を探し出す事』
彼女の師匠の魔力を見つけた先にあったのは、魔力を宿した事で人の姿に擬態化した宝石だった。
*この物語は各エピソード毎に中心人物が変わる作品です。
*日常パートと名の付いたスローライフパート有。
*カクヨムでも同時連載中。
*この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません。
*一部シーンに動物の姿をした者が人の食べる料理を食事する描写がございます。
*こちらの作品は作者が自分自身を見つめ、執筆の学びを得る為に執筆している作品です。
機械少女シリーズに関しての批評は御遠慮しておりますのでご理解のほど宜しくお願いします。
*作者の経験を違う形で散りばめ描写しているシーンが多いです。
繊細さ、世間とのズレによる孤立、精神疾患等、少々デリケートなものを取り扱っている作品となります。
自分を責め続け、生きることに疲れている方に、この作品が何らかの形で寄り添える事が出来ればと願っています。
至らない点があるかと思いますがご拝読いただけますと幸いです。
よろしくお願いします!
私の作品を無断で使用した方には法的処置をとります。
Do not use my artDo not use my art for AI training. Unauthorized use prohibited.
【キャラ文芸大賞 奨励賞】変彩宝石堂の研磨日誌
蒼衣ユイ/広瀬由衣
ミステリー
矢野硝子(しょうこ)の弟が病気で死んだ。
それからほどなくして、硝子の身体から黒い石が溢れ出すようになっていた。
そんなある日、硝子はアレキサンドライトの瞳をした男に出会う。
アレキサンドライトの瞳をした男は言った。
「待っていたよ、アレキサンドライトの姫」
表紙イラスト くりゅうあくあ様
もう一度会いたい……【もう一度抱きしめて……】スピンオフ作品
星河琉嘩
恋愛
もう一度抱きしめて……のスピンオフ作品
BLUE ROSEのベースのAKIRAの妹、高幡沙樹と、BLUE ROSEのギター担当のTAKA、三浦崇弘との年の差恋愛。
※第4章から性描写が軽く入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる