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8、翡翠(幸運)ジェダイト

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「しかし、なぜ、ここに母の絵が…」

 「……おそらく…
ここは君の母上の生まれ育った生家なのではないだろうか…?」

 「ここが…?」

 私は黙って頷いた。
 肖像画が飾られてあることを考えれば、そう考えるのが一番自然だ。
まるで関係のない他人の肖像画を飾る事は稀だ。



その時、サリーの大きな声が響いた。



 「ちょっと、こっちに来て~!」

サリーは、二つ先の小部屋から顔をのぞかせていた。
 私達が駆け付けると、サリーは手に持っていた小箱を私達の前に差し出した。



 「これ、見て!」

 可憐な赤い花の模様が彫り込まれた小箱を開けると、中には石が一つ入っていた。



 「この石は!!」

 薄茶色の石には、十字の印が刻まれていた。



 「これは、君のお父上が言われていたキャストライトではないのか!」

 「そうです!きっと間違いありません!」

 「そうか、キャストライトを探せという君の父上の遺言は、やはり森の民の所へ行けと言うことだったのだな…」

 「そうだと思います…」

 「君をひとりぼっちであの暗い森で暮らさせるのも不憫だし、かといって普通の人間達には馴染めるかどうか、君の父上は心配されたのだろう…
だから、キャストライトを探せと…森の民の所へ行けと言い遺されたのだろうな…」

 「……そして、父の希望通り私はここにたどり着いた…
しかし、皮肉なことにここには誰もいなかった… …」

 「皆、一体どこに行っちゃったんだろうね……」

 途方に暮れた私達は長椅子に腰かけたまま、起き上がる気力さえ失っていた。



 「レヴさん……
これからどうしましょう?

 「そうだな…」

 私にもすぐに思いつく言葉はなく、そのまま口ごもった。
 彼を元気付けてやりたいとは思うのに、何も策が浮かばなかったのだ。



 「私はこれからどうすべきなのでしょうか…?」
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