36 / 449
2、黒水晶(規律と守護)モリオン
24
しおりを挟む
「そうだったんですか…
じゃ、レヴに月光草をとりに行かせたのは…?」
「今までにあの願いを聞いてくれた人は一人もいなかった…自分のことより他人のことを優先する人間なんて滅多にいないものなのよ。
私はね、そういう変わった人が好きなの。」
「しかし、あれは……」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
それは、私が西の塔の魔女の事を半信半疑だったからこそ、月光草を取りに行ったのだということなど、わざわざ言わなくても彼女にはもうとっくにわかっているのだろう……
「……そうです。
たとえ、そうであったとしても、あなたは他人への恩義を忘れない人。
自分の信念を貫く人なのです。
それはとても良いことであり……しかし、場合によってはその逆もあるかもしれないわね。」
その言葉に、何か感じるものはあったが、それが何なのか、その時の私にはまだわからなかった。
「では、お行きなさい。
そうそう……次に出会う時までこれを持っていて…」
西の塔の魔女は、私に小さな袋を手渡した。
「これは…?」
袋の中の固いものを私は掌に落とした。
出て来たのは意外にも黒い小さな石だった。
「それは、黒水晶です。
邪悪なものからあなた方を護ってくれる力強い石です。」
「ありがとうございます。
大切にします。
では、またお会いする日まで……」
「あ、あの…『おばあちゃん』なんて言ってごめんなさい。」
***
レヴとサリーは西の塔の魔女と別れ、新たな旅へ歩み出した。
彼らにあて等なかったが、十字架が進むべき場所へ導いてくれることを強く信じて……今の彼らにはそうすることしか出来ないのだから……
2.黒水晶…fin.
じゃ、レヴに月光草をとりに行かせたのは…?」
「今までにあの願いを聞いてくれた人は一人もいなかった…自分のことより他人のことを優先する人間なんて滅多にいないものなのよ。
私はね、そういう変わった人が好きなの。」
「しかし、あれは……」
言いかけて、私は口をつぐんだ。
それは、私が西の塔の魔女の事を半信半疑だったからこそ、月光草を取りに行ったのだということなど、わざわざ言わなくても彼女にはもうとっくにわかっているのだろう……
「……そうです。
たとえ、そうであったとしても、あなたは他人への恩義を忘れない人。
自分の信念を貫く人なのです。
それはとても良いことであり……しかし、場合によってはその逆もあるかもしれないわね。」
その言葉に、何か感じるものはあったが、それが何なのか、その時の私にはまだわからなかった。
「では、お行きなさい。
そうそう……次に出会う時までこれを持っていて…」
西の塔の魔女は、私に小さな袋を手渡した。
「これは…?」
袋の中の固いものを私は掌に落とした。
出て来たのは意外にも黒い小さな石だった。
「それは、黒水晶です。
邪悪なものからあなた方を護ってくれる力強い石です。」
「ありがとうございます。
大切にします。
では、またお会いする日まで……」
「あ、あの…『おばあちゃん』なんて言ってごめんなさい。」
***
レヴとサリーは西の塔の魔女と別れ、新たな旅へ歩み出した。
彼らにあて等なかったが、十字架が進むべき場所へ導いてくれることを強く信じて……今の彼らにはそうすることしか出来ないのだから……
2.黒水晶…fin.
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
子爵令嬢マーゴットは学園で無双する〜喋るミノカサゴ、最強商人の男爵令嬢キャスリーヌ、時々神様とお兄様も一緒
かざみはら まなか
ファンタジー
相棒の喋るミノカサゴ。
友人兼側近の男爵令嬢キャスリーヌと、国を出て、魔法立国と評判のニンデリー王立学園へ入学した12歳の子爵令嬢マーゴットが主人公。
国を出る前に、学園への案内を申し出てきた学校のOBに利用されそうになり、OBの妹の伯爵令嬢を味方に引き入れ、OBを撃退。
ニンデリー王国に着いてみると、寮の部屋を横取りされていた。
初登校日。
学生寮の問題で揉めたために平民クラスになったら、先生がトラブル解決を押し付けようとしてくる。
入学前に聞いた学校の評判と違いすぎるのは、なぜ?
マーゴットは、キャスリーヌと共に、勃発するトラブル、策略に毅然と立ち向かう。
ニンデリー王立学園の評判が実際と違うのは、ニンデリー王国に何か原因がある?
剣と魔法と呪術があり、神も霊も、ミノカサゴも含めて人外は豊富。
ジュゴンが、学園で先生をしていたりする。
マーゴットは、コーハ王国のガラン子爵家当主の末っ子長女。上に4人の兄がいる。
学園でのマーゴットは、特注品の鞄にミノカサゴを入れて持ち歩いている。
最初、喋るミノカサゴの出番は少ない。
※ニンデリー王立学園は、学生1人1人が好きな科目を選択して受講し、各自の専門を深めたり、研究に邁進する授業スタイル。
※転生者は、同級生を含めて複数いる。
※主人公マーゴットは、最強。
※主人公マーゴットと幼馴染みのキャスリーヌは、学園で恋愛をしない。
※学校の中でも外でも活躍。
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
アラフォー料理人が始める異世界スローライフ
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
ある日突然、異世界転移してしまった料理人のタツマ。
わけもわからないまま、異世界で生活を送り……次第に自分のやりたいこと、したかったことを思い出す。
それは料理を通して皆を笑顔にすること、自分がしてもらったように貧しい子達にお腹いっぱいになって貰うことだった。
男は異世界にて、フェンリルや仲間たちと共に穏やかなに過ごしていく。
いずれ、最強の料理人と呼ばれるその日まで。
武装魔術戦争~融奏のフリーディア~
めぐりん
ファンタジー
自分が何をしたいのか? どう在りたいのか? 何を為すべきなのか? そんな葛藤を胸にユーリ・クロイスは中等部卒業後、フリーディア統合連盟軍に入隊する。
この世界には、異種族と呼ばれる生物が存在し、その異種族の侵略から人々を守るためにフリーディア統合連盟軍は存在している。進路について母親と喧嘩して家を飛び出したユーリだが、初めて戦場に赴き、自分が今まで何も知らずに安穏とした日常を送っていたことを痛感する。それと同時にこれまで当たり前だと思ってきたことに対する疑問も同時に浮かび上がる。
そもそも異種族とは何だ? 何故彼らと戦争をする必要があるのか? この世界の在り方は本当に正しいのか?
これは、ユーリ・クロイスという一人の少年を起点に、様々な登場人物たちの想いが交錯し、世界に大きな変革を齎していく物語。
『悲劇に満ちた残酷なこの世界で、今度こそ完全無欠の大円団を目指して――』
神様、幸運なのはこんなにも素晴らしい事だったのですねぇ!
ジョウ シマムラ
ファンタジー
よくある転生物です。テンプレ大好物な作者です。
不運なアラフォーのオッサンが、転生により、幸運を掴み人生をやり直ししていきます。
初投稿なので、ひたすら駄文ですが、なま暖かく見守って下さい。
各話大体2500~3000文字に収めたいですが、表現力の無さ故に自信ないです。只今、水曜日と日曜日の更新となっております。
R15指定、本作品には戦闘場面などで暴力または残酷なシーンが出てきますので、苦手な方はご注意下さい。
また、チートなどがお嫌いな方は読み飛ばして下さい。
最後に、作者はノミの心臓なので批判批評感想は受付けしていません。あしからずお願いします。
また、誤字の修正は随時やっております。急な変更がありましても、お見逃しください。 著者(拝)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる