十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

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2、黒水晶(規律と守護)モリオン

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「どこなのです?それは!」

 「十字架を探すのです。」

 「十字架……?」

 西の塔の魔女の言葉は、あまりにも曖昧なもので、私は思わず聞き返してしまった。



 「そうです……これ以上は私が言わずとも、きっと自然に導かれていくはずです。
あなたは今とても大きな運命の渦に飲み込まれている。
その渦は大きすぎて、あなたを今助け出すことは出来ないけれど、そのうちきっと抜け出す機会が現れます。
それまでは、流れに逆らわず、自然に身を任せるのが一番良い方法なのです。」

 「……わかりました。
いろいろとありがとうございました。」

 納得したわけではなかったが、きっとこれ以上は、何を訊いても無駄なような気がした。



 「いいえ…手の込んだことをしてごめんなさいね。
あなたとはまたいずれ出会うことになるでしょう。」

 「あ…あの…」

 別れ間際になって、サリーがおずおずと前へ進み出た。



 「つまらないことなんですが…」

 「なぁに?」

 「西の塔っていうのはどこにあるんですか?
だって、あの…あなたは『西の塔の魔女』って呼ばれているでしょう?」

 西の塔の魔女は、静かに微笑みながら答えた。



 「それは誰かが勝手に作り出したもの……私には家なんてあってもなくても良いものだから、決まった住処と言う物は持たないのですよ。
この世には、勝手に作り出されたものがうんざりするほどたくさんあるわね…」

 西の塔の魔女はそう言って小さく笑った。 
 
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