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2、黒水晶(規律と守護)モリオン
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「後は返事を待つばかり……だな。」
「そうだね。明日が楽しみだね!」
サリーは、そう言って顔を輝かせた。
(それは良いとして……今夜はどうしたものか。
こんな所に宿があろうはずがない。
しかし、ピェールの店に帰るには遠すぎる。
今日はとにかく歩き詰めに歩いたから、腹も減っている。
せめて、何か食べる所がみつかれば良いのだが……)
「おなかすいたね……」
私が考えていたのと同じようなタイミングで、サリーが小さな声で呟いた。
「少し、そのあたりを探してみよう。」
私達は残り少ない体力を振り絞り、あたりを歩き回った。
しかし、いやな予感は的中した。
店はおろか、一軒の民家さえみつからない。
今夜は、腹をすかせたまま野宿かと、私が諦めかけた時だった。
「あそこに!」
少し先に灯る明かりが私の目に映った。
見落としていたのか、先程はまったく気付かなかった場所に…
疲れはてた身体に元気がよみがえり、私達は明かりの元へ急いだ。
そこはあまり大きくない粗末な民家だった。
扉を叩くと、品の良い年輩の婦人が顔をのぞかせた。
私達が事情を説明すると、婦人は快く部屋に招き入れてくれた。
「どうぞ、こちらへ。」
私達は別々の部屋へ通された。
そこは浴室で、まるで私達の来るのがわかっていたかのように、熱いお湯がはられてあった。
温かいお湯には、薔薇のような良い香りが漂う。
強ばった身体の筋肉がほぐれ、私は疲れが取れていくような爽快な気分を味わった。
入浴がすむと、また別の部屋に通された。
今度は食堂だった。
やがてすぐに、この家にも婦人にも不釣り合いに思われる程、豪華な料理が次々と運ばれてきた。
(これほど短い時間に、こんな手の込んだものを、それもこんなにもたくさん……一体、どうやって…?)
しかも、それらは一流の料理人が作ったようなとても見事な味だった。
一口噛み締めるごとに、今日の疲れが消し飛んでしまう程に……
食事の後には、私の大好きなダージリンティーが運ばれてきた。
豊潤なシャンペンのような香りが鼻をくすぐる…
サリーは、ワインを飲みながら、頬をピンク色に染め気分良さげに微笑む。
「そうだね。明日が楽しみだね!」
サリーは、そう言って顔を輝かせた。
(それは良いとして……今夜はどうしたものか。
こんな所に宿があろうはずがない。
しかし、ピェールの店に帰るには遠すぎる。
今日はとにかく歩き詰めに歩いたから、腹も減っている。
せめて、何か食べる所がみつかれば良いのだが……)
「おなかすいたね……」
私が考えていたのと同じようなタイミングで、サリーが小さな声で呟いた。
「少し、そのあたりを探してみよう。」
私達は残り少ない体力を振り絞り、あたりを歩き回った。
しかし、いやな予感は的中した。
店はおろか、一軒の民家さえみつからない。
今夜は、腹をすかせたまま野宿かと、私が諦めかけた時だった。
「あそこに!」
少し先に灯る明かりが私の目に映った。
見落としていたのか、先程はまったく気付かなかった場所に…
疲れはてた身体に元気がよみがえり、私達は明かりの元へ急いだ。
そこはあまり大きくない粗末な民家だった。
扉を叩くと、品の良い年輩の婦人が顔をのぞかせた。
私達が事情を説明すると、婦人は快く部屋に招き入れてくれた。
「どうぞ、こちらへ。」
私達は別々の部屋へ通された。
そこは浴室で、まるで私達の来るのがわかっていたかのように、熱いお湯がはられてあった。
温かいお湯には、薔薇のような良い香りが漂う。
強ばった身体の筋肉がほぐれ、私は疲れが取れていくような爽快な気分を味わった。
入浴がすむと、また別の部屋に通された。
今度は食堂だった。
やがてすぐに、この家にも婦人にも不釣り合いに思われる程、豪華な料理が次々と運ばれてきた。
(これほど短い時間に、こんな手の込んだものを、それもこんなにもたくさん……一体、どうやって…?)
しかも、それらは一流の料理人が作ったようなとても見事な味だった。
一口噛み締めるごとに、今日の疲れが消し飛んでしまう程に……
食事の後には、私の大好きなダージリンティーが運ばれてきた。
豊潤なシャンペンのような香りが鼻をくすぐる…
サリーは、ワインを飲みながら、頬をピンク色に染め気分良さげに微笑む。
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