十五の石の物語

ルカ(聖夜月ルカ)

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2、黒水晶(規律と守護)モリオン

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「ピェール、いるかい!?」

 唐突に、若い女の声が店に響いた。
その陽気すぎる声色から、少し酔っていることが窺えた。



 「おぉ、サリーか。」

 「どうしたのさ、真面目な顔して……」

 「それがじゃな、この人が……おぉ、そうじゃ!!」

ピェールの顔が俄に明るく輝いた。



 「お客さん、あんたは運がええ。
サリーにみてもらおう!」

 (……ミテモラウ??)

 老人は何をしようというのか…
私はその言葉に何かいやなものを感じた。



 「なにさ、ピェール……この人、誰??」

 「この人はな、人を探してるそうなんじゃ。」

サリーにそう答えたピェールは、今度は私の方に向き直った。



 「このサリーはな。こう見えてもすご腕の占い師なんじゃよ!」

 (……ウラナイだと…?!)

 私は占いをまるで信じていないというわけではなかったが、占いなんてものは、女、子供の娯楽のようなものだという想いが強かった。



 (ピェールは、私のことを馬鹿にしているのだろうか?
 確かに、何のあてもなく老人を探しに出て来た私は愚か者かもしれないが、占いで探すだなんてあまりにも馬鹿にしすぎだ…
仮にも私はあの老人を真剣に探している。
なのに、こんなに若い酔っ払いの小娘に占ってもらおうだなんて……!)

 私が機嫌を悪くしたことを二人はすぐに気付いたようだった。



 「こんな小娘の占い等、信じられるかといった顔つきじゃな。
ならば、信じんでもええ。
 遊びじゃと思えば良いんじゃよ。
どうせ、他に手がかりはないのじゃろう?」

 老人の「どうせ」という言葉がさらに私の癇に障った。

サリーと呼ばれる若い女も、私に信じてもらえないとわかったことで、やはり機嫌を悪くしていた。

ピェールはサリーの機嫌をとりなして奥の椅子に座らせたかと思うと、今度は私の背中を押し、否応なしにサリーの前に向かいあわせに座らせた。 
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