ラッキーアイテムお題短編集５

パソコン（おとめ座）

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「うわぁ…ＶＦにニューヴァージョンが登場だって。」

「ニューヴァージョン？」

宏幸は、亜紀の見ていた雑誌を横からのぞきこんだ。
そこには、まるでアイドルのように爽やかな青年がにっこりと微笑む画像があった。
イラスト等ではなく、どう見ても生身の人間に見える精巧なＣＧだ。



「今度のはウェブカメラを通してＶＦと会話が出来るんだって！」

「それ、ヤバくない！？
うちの会社にもＶＦやってる奴がけっこういるけど、だんだん、現実と作り物の区別が付かなくなってるみたいだぜ。」

「うちの社にもいる！
仕事は出来るし、話してることも普通だし、性格的にも特に問題ない子だと思ってたんだけど、ＶＦ始めてからちょっとおかしくなって来たんだよね。
彼氏の話とかしてたら、『私の彼は今海外に行ってるけど、毎日、メールとスカイプでやりとりしてるから寂しくない。』なんて言ってさ。
へぇ、そうなんだ…って感じで、別になんとも思わなかったんだけど、彼女と親しい子の話によると、その彼っていうのはＶＦなんだって。
その子、初期のメールしか出来ないver.の時からずっと同じＶＦでやってて、長くやってるうちにそれが本当のことだと思いこんでるみたいなのよ。」

「でも、ＶＦはそういうことを防止するために、三ヶ月以上同じＶＦとは続けられないんじゃないの？」

「そうなんだけど、やっぱりハマると三ヶ月で別れるのが寂しいらしくって、そういうのをはずすソフトが闇で出回ってるんだってさ。」

「それ、マジでヤバイって！
ニューヴァージョンなんか出たら、ますます悪化する奴が増えるんじゃないか？」

「……だろうねぇ…
ま、私は生身の人間しか興味ないから、安心して！」

宏幸は、肩をすくめて、亜紀の身体を抱き締めた。



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『ＶＦ（ヴァーチャルフレンド）にニューヴァージョン登場！
今度のＶＦはウェブカメラで相手の顔を見ながら会話が出来る！
もちろん以前からのメール機能、会話機能も標準装備。
あなただけのＶＦを作って、二人だけのヴァーチャルライフを楽しもう！
性別、人種、年齢、ルックス、その他詳しい設定はすべてあなたの思いのまま！
面倒臭がり屋さんのあなたにはおまかせ機能がぴったり！

※精神衛生上、同じＶＦとは三ヶ月以上つきあえません。』