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ダテメガネ(ふたご座)

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見始めてしばらくすると、俺はどんどんドラマにのめりこんでいる自分に気が付いた。
カッコイイじゃないか、カン・ジェホ!
なかなか良い演技をしやがる!
ストーリーもこれまた面白い。
俺は、仕事が終わると飲みにも行かずに家に直行し、毎晩、明け方近くまで韓流のDVDを見るという生活を続けた。

気が付けば、俺はいつの間にか韓流に詳しくなっていた。
これで、いつ、あゆみと話す機会が出来てもバッチリだ。
……ところが、俺はそこではたと気が付いた。
いくら俺が韓流に詳しくなっても、彼女はそもそも俺の存在に気がついていない。
そうだ、まずは俺自身の存在を彼女に印象付ける必要があったんだ!
……だけど、どうすれば…!?



そんなことをしばらく考えているうちに、ある日、俺の頭に名案が浮かんだ。



(そうだ!これだ!!)







「あれ?人見さんじゃないですか…ど、どうしたんですか?イメチェン!?」

俺は、髪をやや明るい色に染め、銀縁のだてめがねをかけて出社した。
その反応は思ったよりも良いもので、理知的だとか、雰囲気が優しくなったとか、特に女子社員からの反応はすこぶる良かった。
しかも、「カン・ジェホに似てる」なんて感想までもらい、嬉しさのあまり俺の顔には思わずあの聖天使的な微笑が浮かんだ。
あと少し髪が伸びたら、きっともっとカン・ジェホに似て来る筈だ。
俺は髪が早く伸びるシャンプーなんてものを購入し、長くなった髪を想いながら毎日せっせとシャンプーした。



その甲斐あって、しばらくすると俺はますます「ジェ様に似てる」との評価を受けることになった。
社内だけではなく、通勤の行き帰りや立ち寄った居酒屋でもそんなことを言われるようになった。
自信をつけた俺は、ついに計画を実行することに決めた。
土曜日の午前中、俺はあゆみのいるショッピングセンターに出向いた。
私服はなおさらカン・ジェホに似せることが出来る。
雑誌で見た奴の着ていた服に似たものを着込み、俺は店を探すふりをして、あゆみのいるカウンターへ一歩一歩近付いた。 
 
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