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第10章…side ブルー
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……これで私達の身体は一つに戻る……はずだった……
「なぜだ!
なぜ、元に戻らぬ?
創造主よ、どこかで見ているのだろう?答えてくれ!」
すると、どこからか穏やかな声が聞こえてきた。
いや、それは耳に聞こえたのではなく、心の中に直接入り込んで来たのだ。
『残念ながら、失敗のようだな…』
「だから、それはなぜかと聞いているのです!
あなたは申された。
私達が出会い、手と手をあわせた時に身体は元に戻り、力も元に戻ると…」
『その通り。
だが、手を合わせるということは、ただそれだけのことではない。
二人の気持ちが合うということでもあるのだ。
しかし、お前たちの気持ちは同じではない。
まるで逆ではないか…
ブルーは、一刻も早く天界へ戻りたいと望んでいるが、ノワールはこの地を離れたくないと悲鳴をあげておる。
だから、お前達の身体は元に戻らぬのだ。』
「そんな…!
今までずっと苦労して、やっと出会えることが出来たというのに…!
それに、あなたはそんなことはおっしゃらなかったではありませんか…!
ただ『手と手を合わせれば元に戻れる』とおっしゃった筈…」
『自らを思慮深いと自負するおまえが、その言葉に含まれる意味に気付かなかったとでもいうのか?』
「くっ…」
私は悔しさに唇を噛み締めた。
「そうだ!ならば、ノワールだけをここへ残せば良いではありませぬか!」
『……ブルーよ…
おまえは忘れたのか?
……ノワールは、おまえ自身ではないか…』
私は、創造主の言葉にはっとした。
そうだ…
この哀れなノワールは…誰あろう、私自身だったのだ…
「ブルー…私のせいで…すまない…」
「……いいんだ、ノワール……」
私は全身の力が抜け落ちていくのを感じた…
こうなったのは誰のせいでもない。
私自身のせいだったのだ。
涙を流すノワールを、私はそっと抱き締めた。
彼に対して急に愛しさのようなものが込み上げて来るのを感じた。
これからは、私がこの男を…いや、もう一人の私を支えていこう…
そう考えた。
『しかし、確かに、これほど困難な試練をよくぞ乗り越えたと思う。
このままというわけにはいかぬな…』
そう声が聞こえたのを最後に、私の意識は途絶えた…
「なぜだ!
なぜ、元に戻らぬ?
創造主よ、どこかで見ているのだろう?答えてくれ!」
すると、どこからか穏やかな声が聞こえてきた。
いや、それは耳に聞こえたのではなく、心の中に直接入り込んで来たのだ。
『残念ながら、失敗のようだな…』
「だから、それはなぜかと聞いているのです!
あなたは申された。
私達が出会い、手と手をあわせた時に身体は元に戻り、力も元に戻ると…」
『その通り。
だが、手を合わせるということは、ただそれだけのことではない。
二人の気持ちが合うということでもあるのだ。
しかし、お前たちの気持ちは同じではない。
まるで逆ではないか…
ブルーは、一刻も早く天界へ戻りたいと望んでいるが、ノワールはこの地を離れたくないと悲鳴をあげておる。
だから、お前達の身体は元に戻らぬのだ。』
「そんな…!
今までずっと苦労して、やっと出会えることが出来たというのに…!
それに、あなたはそんなことはおっしゃらなかったではありませんか…!
ただ『手と手を合わせれば元に戻れる』とおっしゃった筈…」
『自らを思慮深いと自負するおまえが、その言葉に含まれる意味に気付かなかったとでもいうのか?』
「くっ…」
私は悔しさに唇を噛み締めた。
「そうだ!ならば、ノワールだけをここへ残せば良いではありませぬか!」
『……ブルーよ…
おまえは忘れたのか?
……ノワールは、おまえ自身ではないか…』
私は、創造主の言葉にはっとした。
そうだ…
この哀れなノワールは…誰あろう、私自身だったのだ…
「ブルー…私のせいで…すまない…」
「……いいんだ、ノワール……」
私は全身の力が抜け落ちていくのを感じた…
こうなったのは誰のせいでもない。
私自身のせいだったのだ。
涙を流すノワールを、私はそっと抱き締めた。
彼に対して急に愛しさのようなものが込み上げて来るのを感じた。
これからは、私がこの男を…いや、もう一人の私を支えていこう…
そう考えた。
『しかし、確かに、これほど困難な試練をよくぞ乗り越えたと思う。
このままというわけにはいかぬな…』
そう声が聞こえたのを最後に、私の意識は途絶えた…
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