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第10章…side ブルー
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「ノワール…おまえはたいそう苦労したんだな。
だが、安心しろ!
身体はすぐに元に戻る。
これからは病気や怪我をすることもなくなるんだ。
そして、以前のように楽しく快適な暮らしに戻れるんだ…!」
「待ってくれ……
実は、私は、こんなことにならなければ…
パメラと一緒にこの世界で暮らしていこうと思っていたんだ…」
「ば、馬鹿な!
おまえは、人間ではないのだぞ。
天上人なのだぞ。
まさか、本気で人間の女に惚れたなんて言うんじゃないだろうな!」
「そんなにおかしいか…?
人間の女を本気で愛することが、そんなにおかしなことか?」
「当たり前ではないか!
しかも、あの女は人間の中でも若くもなければ美しくもない…
あんな女のどこが良いのだ?」
「……おまえにはわからんだろうな……
パメラは…見てくれはあんなだが、心の中はわずかなくすみもない清流のような美しい魂をしているのだ。
私がこんな身体になっても、働きながら私の面倒をみてくれている。
私は…身体がこんなことにならなければ、彼女を妻にし、そして、子を作り、人間としてずっとこの世界で暮らしていこうと考えていたのだ…」
「正気なのか、ノワール?
よく考えてみろ。私達は年をとらないのだぞ。
それに引き換えあの女はあっという間に老い、どんどんと醜くなっていくのだぞ。」
「それでも構わない…
パメラがどんなに老い醜くなっていこうとも、私の気持ちは変わらない…
……彼女が死ぬまで側にいたい…」
「逆のことも考えてみろ。
まるで年をとらないおまえを見て、彼女はどう思うだろうか?
きっと悪魔かばけものだと思って、愛想を尽かされるぞ…」
「……彼女は、そんな女ではない……」
ノワールの告白に、私は自分の耳を疑った。
彼が、人間の女を本気で愛しただなんて、とてもじゃないが信じられなかった。
「おまえは、『こんな身体にならなければ』と、言ったが、それは、今ではその気持ちが変わったということなのか?」
「………パメラを愛していることには変わりはない…
だが、私のせいで彼女はとても苦労をしている。
今だけならまだ良いが、おそらく私の身体は一生良くなることはないだろう…
私はこの先も彼女に世話をかけるばかりで、彼女にしてやれることは何もないのだ…それが辛くてな…」
だが、安心しろ!
身体はすぐに元に戻る。
これからは病気や怪我をすることもなくなるんだ。
そして、以前のように楽しく快適な暮らしに戻れるんだ…!」
「待ってくれ……
実は、私は、こんなことにならなければ…
パメラと一緒にこの世界で暮らしていこうと思っていたんだ…」
「ば、馬鹿な!
おまえは、人間ではないのだぞ。
天上人なのだぞ。
まさか、本気で人間の女に惚れたなんて言うんじゃないだろうな!」
「そんなにおかしいか…?
人間の女を本気で愛することが、そんなにおかしなことか?」
「当たり前ではないか!
しかも、あの女は人間の中でも若くもなければ美しくもない…
あんな女のどこが良いのだ?」
「……おまえにはわからんだろうな……
パメラは…見てくれはあんなだが、心の中はわずかなくすみもない清流のような美しい魂をしているのだ。
私がこんな身体になっても、働きながら私の面倒をみてくれている。
私は…身体がこんなことにならなければ、彼女を妻にし、そして、子を作り、人間としてずっとこの世界で暮らしていこうと考えていたのだ…」
「正気なのか、ノワール?
よく考えてみろ。私達は年をとらないのだぞ。
それに引き換えあの女はあっという間に老い、どんどんと醜くなっていくのだぞ。」
「それでも構わない…
パメラがどんなに老い醜くなっていこうとも、私の気持ちは変わらない…
……彼女が死ぬまで側にいたい…」
「逆のことも考えてみろ。
まるで年をとらないおまえを見て、彼女はどう思うだろうか?
きっと悪魔かばけものだと思って、愛想を尽かされるぞ…」
「……彼女は、そんな女ではない……」
ノワールの告白に、私は自分の耳を疑った。
彼が、人間の女を本気で愛しただなんて、とてもじゃないが信じられなかった。
「おまえは、『こんな身体にならなければ』と、言ったが、それは、今ではその気持ちが変わったということなのか?」
「………パメラを愛していることには変わりはない…
だが、私のせいで彼女はとても苦労をしている。
今だけならまだ良いが、おそらく私の身体は一生良くなることはないだろう…
私はこの先も彼女に世話をかけるばかりで、彼女にしてやれることは何もないのだ…それが辛くてな…」
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