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第10章…side ブルー

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「あと、少しで島に着くぜ。
島民はそんなに多くはいないから、港の誰かに聞いてみたらすぐわかると思うぜ。」



それからほどなくして、船は小さな港に着いた。

男の言った通り、この島の付近にはいくつもの渦があり、彼は時には夜通し起きて操舵してくれた。
こんな状況では確かにこの海に慣れた者でなければ、ここに来ることは困難だろうと思えた。

港に着くと、私はすぐさま港にいた男達にノワールのことを聞いてみたが、残念ながら期待した返答は返っては来なかった。

ところが、何人か目に話を聞いた漁師らしき男が、有力な情報をもたらしてくれた。

私とそっくりな黒髪の男から、たまに魚を買い上げているというのだ。

だが、その男がどこに住んでるのかはわからず、しかもここしばらくその男は港の方にも顔を出していないと言う。



私の胸は高鳴った!
間違いない!
やはりこの島にノワールはいるのだ!

私は島の中を探して回ることにした。

島に着いたのは昼頃だったと思うのだが、いつの間にかあたりはもう薄暗くなってきていた。

島民はまばらな割りに、島自体はそれなりに広い。
見かける家はどこも粗末な小屋のような家ばかりだ。
島民の身なりもたいそうみすぼらしい。
渦のせいで、大陸との行き来が出来にくいせいなのだろうか?
この島はとても貧しい島のように思えた。

私はふとこの世界に降り立った頃のことを思い出していた。
朝から晩まで働いても、食べていくのがやっとだったあの惨めな暮らしのことを…



(そういえば、ノワールも酷い身なりをしていたらしいだが…
貧しい暮らしをしているのだろうか?)

ぼんやりとそんなことを考えながら歩いていると、私は畑で働く女をみつけた。



「あの…すみません。」

女は私の声に顔をあげると、酷く驚いたような表情を浮かべた。



「あ、あなたは…」

その反応に、私は彼女がノワールのことを知っているのだと直感した。



「もしかしたら、あなたは私の双子の兄弟をご存じなのでしょうか?」

「双子の……!!
そうだったんですか…
あなたはノワールの双子のご兄弟…
……どうぞ、こちらです。」

女は、私を近くの小屋へ案内してくれた。 
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