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第9章…side ノワール
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「ノワール!しっかりして!ノワール!」
「パメラ……か、彼は…」
「あの人なら、もう……
ノワール、大丈夫よ…安心して…」
朦朧とする意識の中で、ジェロームの背中にに三つ又の鉾が刺さっているのが見えたような気がした。
(……まさか…パメラが彼を…?)
私はそのまま意識を失った……
*
私が目を開けた時、そこにはパメラの悲しそうな顔があった。
「ノワール!!気がついたのね!!」
私を見て、パメラは子供のように泣きじゃくっていた。
私は、かなり長い間、意識を失っていたらしい。
「あなたはものすごい出血で…私…あなたがあのまま死んでしまうんじゃないかと心配で心配で……」
「また助けてくれたんだな…
ありがとう、パメラ…」
私はそれから日を追うごとに少しずつ回復していったが、どうも身体の様子がおかしいことに気が付いた。
足が動かせないだけではなく、下半身の感覚がほとんどないのだ。
最初は身体の回復と共に良くなるのだろうと考えていたが、どうやらそうではないことがわかってきた。
人間の身体についてはまだそんなによくはわかっていなかったが、おそらく、ジェロームに刺された時にどこかの大切な神経を傷付けてしまったのだろう…
絶望的なことに、私は一人では動けない身体になってしまったのだ。
そして、私だけではなく、パメラも足をひきずるようになっていることに私は気が付いた。
(……なんてことだ…)
パメラは足が不自由になったことで、今までの仕事がかなり身体にこたえるようだった。
そんな所へ私の世話までしなくてはならなくなったのだ。
彼女はわずかな間にずいぶんと痩せ衰えていた。
「パメラ…すまない…
私のせいで、君にはこんな苦労をかけて…こんなことなら…あの時、死んでしまえば良かった…」
「そんなことを言うのはやめて!
私はあなたが生きていてくれるだけで、とても幸せなんだから…」
そう言って無理に微笑む彼女の笑顔が切なかった。
それだけではない。
彼女は、私のために、ジェロームを手にかけてしまったのだ。
その心の負担を考えると私は胸が痛んだ。
私は、パメラを幸せにするどころか、彼女をますます不幸にしてしまったのだ。
「パメラ……か、彼は…」
「あの人なら、もう……
ノワール、大丈夫よ…安心して…」
朦朧とする意識の中で、ジェロームの背中にに三つ又の鉾が刺さっているのが見えたような気がした。
(……まさか…パメラが彼を…?)
私はそのまま意識を失った……
*
私が目を開けた時、そこにはパメラの悲しそうな顔があった。
「ノワール!!気がついたのね!!」
私を見て、パメラは子供のように泣きじゃくっていた。
私は、かなり長い間、意識を失っていたらしい。
「あなたはものすごい出血で…私…あなたがあのまま死んでしまうんじゃないかと心配で心配で……」
「また助けてくれたんだな…
ありがとう、パメラ…」
私はそれから日を追うごとに少しずつ回復していったが、どうも身体の様子がおかしいことに気が付いた。
足が動かせないだけではなく、下半身の感覚がほとんどないのだ。
最初は身体の回復と共に良くなるのだろうと考えていたが、どうやらそうではないことがわかってきた。
人間の身体についてはまだそんなによくはわかっていなかったが、おそらく、ジェロームに刺された時にどこかの大切な神経を傷付けてしまったのだろう…
絶望的なことに、私は一人では動けない身体になってしまったのだ。
そして、私だけではなく、パメラも足をひきずるようになっていることに私は気が付いた。
(……なんてことだ…)
パメラは足が不自由になったことで、今までの仕事がかなり身体にこたえるようだった。
そんな所へ私の世話までしなくてはならなくなったのだ。
彼女はわずかな間にずいぶんと痩せ衰えていた。
「パメラ…すまない…
私のせいで、君にはこんな苦労をかけて…こんなことなら…あの時、死んでしまえば良かった…」
「そんなことを言うのはやめて!
私はあなたが生きていてくれるだけで、とても幸せなんだから…」
そう言って無理に微笑む彼女の笑顔が切なかった。
それだけではない。
彼女は、私のために、ジェロームを手にかけてしまったのだ。
その心の負担を考えると私は胸が痛んだ。
私は、パメラを幸せにするどころか、彼女をますます不幸にしてしまったのだ。
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