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第7章…side ノワール

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すべての希望が失われたような気がしていた…
私は日を追うごとに塞ぎこむようになっていった。

彼女の手伝いをする気もなくなってしまい、私は毎日小屋の中で横になってばかりいた…

食べる気もしない…
考える気力もない…
横になっていても眠れることはほとんどなかった…

気力と共に、私の身体も痩せ衰えていった。

人間と言うものは、心の在り様が身体に大きな影響を及ぼすことは知っていたが、まさか私自身がそんな愚かな状態になってしまうとは思ってもみなかった…

パメラはそんな私を気遣い、何くれと献身的に世話をしてくれたが、そんな彼女の態度が却って私を苛々させた。
私のせいで彼女の生活はさらに逼迫しているというのに、なぜ私を責めない?!

私は、心の中のもやもやをぶつけるように彼女に暴言を浴びせ、小屋の中で暴れ、そのうち、彼女に暴力を加えるようにまでなってしまっていた。

しかし、彼女は私がどんなに酷く蹴ろうが殴ろうが、何も言わずただ、ただ、じっと耐えていた。

そのことが、さらに私の癇に触った。



「なぜ、何も言わない!
どうしてそんな目で私を見る!?」

「ご、ごめんなさい。
あなたが苦しんでらっしゃることは、私にはとてもよくわかってます。
ですが、悲しいことに私はあなたにしてあげられることが何もありません…
ですから、殴って気が楽になるのならどうぞいくらでも殴って下さい!
少しでもあなたのお力になれるのなら、私、どんなことでも…」

その言葉が、ますます私の苛立った心に火を注いだ。



(この女は…この貧しい田舎女は私に同情している…
私を憐れんでいるのだ!)



私は彼女の髪をつかんでひきずりまわし、さらにひどい暴力を加えた。



(私は…おまえのような女に憐れみを施されるような者ではない!)



パメラは、私の暴行に息を切らし、涙を浮かべながらも声をあげることもせず身体を震わせてじっと耐えていた。

彼女の乱れた服装が、私をさらに狂気にかきたてた。
私は彼女の服を引き裂き、乱暴にその場に押し倒した。

彼女の瞳に畏れの色が浮かんでいる…
これからされることを感じとったのか、彼女は声を押し殺して涙を流し始めたが、意外なことに抵抗はしなかった。
強かに痛めつけられ、抵抗する気力をも失ってしまったのかもしれない。

 
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