天使の探しもの

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
20 / 92
第3章…side ノワール

しおりを挟む
思った通り、この町にはたいした金持ちはいなかった。
泊まる所と食べることとちょっとした小遣い程度を提供してくれる女はすぐにみつかったが、船の修繕となると誰も良い顔はしなかった。
残念ながら、私が今までに知り合った金持ち女達とは格が違うのだ。

莫大な金がかかるのだから仕方のないことではあったが、船がなくては他の大陸に渡れない。
いや、定期船に乗れば行けないことはないのだが、運行は年に数度しかない。
なんともまどろっこしい話だ…

せっかく手に入れた船を手放すのは悔しいが、修繕費を調達出来ないのではそうするしかないのだろうか…?

乗組員達も、今後のことが不安だったのか、私に詰め寄ってきた。

「すまないが、あと十日だけ待ってくれ。
その時には、今後どうするかをはっきりと決める。」

私は、彼らにそう約束した。



しかし、船の修繕費のあて等まるでないのだ。
この分ではおそらく解雇ということになってしまうだろう。
乗組員達の給料は、船を売ればなんとかなるとは思うのだが…それも、買い手がすぐにみつかれば…の話だ…
いずれにせよ、困った状況にあることは間違いない。



私は、少しばかり離れた町へも足を伸ばしてみたが、やはりそこもしょぼくれた田舎町だった。
このあたりには大きな町も金持ちもいそうにない。
こんな所でうろうろしていても、時間の無駄以外のなにものでもないと感じた。

疲れた足をひきずりながら、私は目に付いた一軒の酒場に入った。
場末の薄汚れた小さな酒場だ。



「いらっしゃい。」

店の中には、初老のマスターがいるだけだった。
黙々とグラスを磨く彼に、私はワインを注文した。



「悪いが、ここにはワインなんてものは…」

顔をあげた主人の手が止まった。

彼は明らかに何かに驚いている。



「私の顔に何かついているのか?」

「……あ……すまん…なんでもないんだ…」

そう言いながらも彼の目は見開かれ、まじまじと私の顔をみつめている。
どう見てもなんでもない顔ではない。



「……なにかあるのか?」

「……すまないな。
実はあんたが俺の知ってる男にあまりによく似てたもんでな…」

彼の言葉に私の鼓動が突然速くなった。



「私に似た男?
……して、その男の髪の色は…?!」

「それが、不思議な話なんだが…深い蒼色なんだ。
あんたと違うのはそこだけだ…」 



私はついにブルーの手掛かりを見つけたのだ…!!

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...