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酒飲み
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「あ、そこ、良いんじゃないか?」
「そうだな。この辺りは人通りも少ないし、良いかもしれないな。」
俺達は、とある公園を今夜の会場に決めた。
特にこれといって目立つところもない、ごく普通の公園だ。
俺達は、ベンチの上に、酒とつまみを広げた。
「さ~て、今日も思いっきり飲みますか。」
「飲もう、飲もう。」
暑くもなく寒くも無い。
こんな季節は路上飲みが一番だ。
店に入るよりうんと安くあがるし、まわりの客に気を遣うこともない。
思う存分、好きな酒が飲める。
「かんぱ~い!」
各々、好きな酒を持ち、飲み会は始まった。
明日は休みだということもあってか、みんなの飲むペースが速い。
辺りにどんどん、空の缶や瓶が増えていく。
「ゴミは散らかしちゃダメだぞ~!」
「わかってますよ~」
口ではそんなことを言いながらも、知らないうちにあたりはだいぶ散らかってきていた。
だけど、そんなことはさほど気にならない。
酔いが回るにつれ、知らず知らずのうちにみんなの声が大きくなる。
つまらないことで、爆笑してしまう。
そのうち、みんなで歌を歌ったり、踊ったり。
あぁ、やっぱり酒は良い。
楽しくて仕方がない。
「あ、ツツジだ。
花見だ、花見!」
下川が、ツツジを懐中電灯で照らす。
「そういえば、子供の頃、ツツジの蜜を吸わなかったっけ?」
「あぁ、あったあった。
甘くてうまいんだよな。」
「どれどれ…」
松田がヨロヨロと立ち上がり、ツツジの花を取って、蜜を吸った。
「うん、うまい!……よくわからないけど…」
「わからないのかよ!」
ツッコミを入れた大野もツツジの蜜を吸う。
「うん、うまい!…多分な。」
「おまえもわからないのかよ!」
みんながどっと笑った。
「じゃあ、食べてみたらわかるんじゃないか?」
山本がツツジをむしって、次々と口に放り込む。
みんなはそんな山本にまた大笑いだ。
しかし、しばらくすると、状況は一変した。
山本が気分が悪いと言い出し、嘔吐し始めた。
それから次々とみんなの具合いが悪くなり、ふと見ると、山本は痙攣を起こしている。
俺の酔いは一気に覚めた。
とにかく、すぐに救急車を呼んだ。
*
「えらい目にあったな。」
「お前のおかげで、俺達もなんとか助かったよ。」
なんと、みんなの異変は、ツツジの毒による中毒だった。
ツツジに手を出さなかった俺だけが無事だったのだ。
まさか、公園にそんな危険なものがあるとは思ってもみなかった。
これからは、おとなしく居酒屋で飲む方が良さそうだ。
「そうだな。この辺りは人通りも少ないし、良いかもしれないな。」
俺達は、とある公園を今夜の会場に決めた。
特にこれといって目立つところもない、ごく普通の公園だ。
俺達は、ベンチの上に、酒とつまみを広げた。
「さ~て、今日も思いっきり飲みますか。」
「飲もう、飲もう。」
暑くもなく寒くも無い。
こんな季節は路上飲みが一番だ。
店に入るよりうんと安くあがるし、まわりの客に気を遣うこともない。
思う存分、好きな酒が飲める。
「かんぱ~い!」
各々、好きな酒を持ち、飲み会は始まった。
明日は休みだということもあってか、みんなの飲むペースが速い。
辺りにどんどん、空の缶や瓶が増えていく。
「ゴミは散らかしちゃダメだぞ~!」
「わかってますよ~」
口ではそんなことを言いながらも、知らないうちにあたりはだいぶ散らかってきていた。
だけど、そんなことはさほど気にならない。
酔いが回るにつれ、知らず知らずのうちにみんなの声が大きくなる。
つまらないことで、爆笑してしまう。
そのうち、みんなで歌を歌ったり、踊ったり。
あぁ、やっぱり酒は良い。
楽しくて仕方がない。
「あ、ツツジだ。
花見だ、花見!」
下川が、ツツジを懐中電灯で照らす。
「そういえば、子供の頃、ツツジの蜜を吸わなかったっけ?」
「あぁ、あったあった。
甘くてうまいんだよな。」
「どれどれ…」
松田がヨロヨロと立ち上がり、ツツジの花を取って、蜜を吸った。
「うん、うまい!……よくわからないけど…」
「わからないのかよ!」
ツッコミを入れた大野もツツジの蜜を吸う。
「うん、うまい!…多分な。」
「おまえもわからないのかよ!」
みんながどっと笑った。
「じゃあ、食べてみたらわかるんじゃないか?」
山本がツツジをむしって、次々と口に放り込む。
みんなはそんな山本にまた大笑いだ。
しかし、しばらくすると、状況は一変した。
山本が気分が悪いと言い出し、嘔吐し始めた。
それから次々とみんなの具合いが悪くなり、ふと見ると、山本は痙攣を起こしている。
俺の酔いは一気に覚めた。
とにかく、すぐに救急車を呼んだ。
*
「えらい目にあったな。」
「お前のおかげで、俺達もなんとか助かったよ。」
なんと、みんなの異変は、ツツジの毒による中毒だった。
ツツジに手を出さなかった俺だけが無事だったのだ。
まさか、公園にそんな危険なものがあるとは思ってもみなかった。
これからは、おとなしく居酒屋で飲む方が良さそうだ。
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