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卒業旅行
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「す、すげぇ!」
「夢みたいだ!」
卒業式の次の日から、俺は悪友達と四人で、卒業旅行に行くことになっていた。
行き先は、九州の別荘だ。
そこに行くまでは、俺が運転するキャンピングカーで気ままなドライブ旅を続けるんだ。
「すごい!ちゃんと水も出るんだな!」
「テレビも映るぞ!」
同級生達は、キャンピングカーの内部を見ては歓声をあげる。
「あのさ…もしかして、キャンピングカーは初めてなのか?」
三人は一斉に頷いた。
なるほど、だから、つまらないことにもいちいち驚くんだな。
うちには、子供の頃からキャンピングカーがあったから、珍しくもなんともないのだけど。
「じゃあ、そろそろ出発しようか。」
車は九州を目指し、走り始めた。
三人はリビングで盛り上がってるみたいだ。
キャンピングカーくらいで、こんなに喜んでもらえるなんて、思ってもみなかった。
「うわ~!この肉、噛まなくても勝手に溶けるぞ。」
「エビもプリップリだ!」
夜はバーベキューをやった。
本当なら酒でも飲みたいところだけど、俺以外はまだみんな未成年だから、我慢した。
「八代!これからも仲良くしてくれよな!」
「あぁ、もちろんだ!」
俺以外の三人はみんな大学に進学する。
俺も進学したい気持ちはあったが、俺の学力では大学に入れるはずもない。
これ以上、浪人したり、留年したら、えらい年になってしまうから、働くことに決めたんだ。
「それにしても、高校生のうちに彼女が出来なかったのは残念だったな。」
「大丈夫だよ。二十歳までにはきっと…あ…」
三人の視線が俺に止まった。
「ははは、気にすんなよ。」
「ご、ごめん。八代は見た目も気分も若いよ。俺たちと変わらない。
な、斎藤!」
「え?お、おう!そ、その通りだ!」
なんか気を遣わせて申し訳ないな。
六歳の年の差は、そう簡単に埋められるもんじゃない。
だけど、幸い、クラスでは嫌な想いをすることは全くなかった。
みんな、優しくて良い奴ばかりで…
くぅ~…そんなクラスメイトと別れることになるのは、本当に辛い。
「なぁ、みんな。校歌を歌おうぜ!」
「そりゃ良いな!」
四人の歌声が、森の中に響き渡る。
あぁ、良いな。
なんだかすごく満ち足りた気分だ。
まだ卒業旅行は一日目だけど、良い旅になりそうな予感に、俺は胸を踊らせた。
「夢みたいだ!」
卒業式の次の日から、俺は悪友達と四人で、卒業旅行に行くことになっていた。
行き先は、九州の別荘だ。
そこに行くまでは、俺が運転するキャンピングカーで気ままなドライブ旅を続けるんだ。
「すごい!ちゃんと水も出るんだな!」
「テレビも映るぞ!」
同級生達は、キャンピングカーの内部を見ては歓声をあげる。
「あのさ…もしかして、キャンピングカーは初めてなのか?」
三人は一斉に頷いた。
なるほど、だから、つまらないことにもいちいち驚くんだな。
うちには、子供の頃からキャンピングカーがあったから、珍しくもなんともないのだけど。
「じゃあ、そろそろ出発しようか。」
車は九州を目指し、走り始めた。
三人はリビングで盛り上がってるみたいだ。
キャンピングカーくらいで、こんなに喜んでもらえるなんて、思ってもみなかった。
「うわ~!この肉、噛まなくても勝手に溶けるぞ。」
「エビもプリップリだ!」
夜はバーベキューをやった。
本当なら酒でも飲みたいところだけど、俺以外はまだみんな未成年だから、我慢した。
「八代!これからも仲良くしてくれよな!」
「あぁ、もちろんだ!」
俺以外の三人はみんな大学に進学する。
俺も進学したい気持ちはあったが、俺の学力では大学に入れるはずもない。
これ以上、浪人したり、留年したら、えらい年になってしまうから、働くことに決めたんだ。
「それにしても、高校生のうちに彼女が出来なかったのは残念だったな。」
「大丈夫だよ。二十歳までにはきっと…あ…」
三人の視線が俺に止まった。
「ははは、気にすんなよ。」
「ご、ごめん。八代は見た目も気分も若いよ。俺たちと変わらない。
な、斎藤!」
「え?お、おう!そ、その通りだ!」
なんか気を遣わせて申し訳ないな。
六歳の年の差は、そう簡単に埋められるもんじゃない。
だけど、幸い、クラスでは嫌な想いをすることは全くなかった。
みんな、優しくて良い奴ばかりで…
くぅ~…そんなクラスメイトと別れることになるのは、本当に辛い。
「なぁ、みんな。校歌を歌おうぜ!」
「そりゃ良いな!」
四人の歌声が、森の中に響き渡る。
あぁ、良いな。
なんだかすごく満ち足りた気分だ。
まだ卒業旅行は一日目だけど、良い旅になりそうな予感に、俺は胸を踊らせた。
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