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料理上手な妻
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「初めて食べたけど、なかなか美味しいものだね。
苦味が大人の味って感じだよ。」
「そう、気に入ったなら良かったわ。」
彼は、私が作ったふきのとう味噌を美味しそうに食べている。
「君は、本当に料理がうまいね。
すごい才能だよ。」
「……たいしたことないわ。」
先日、二人で何気なく見ていたテレビの旅番組で、ふきのとう味噌が紹介されていて、彼がそれを食べたいと言ったから、ネットで作り方を調べて作ってあげただけのこと。
確かに私は料理が得意だ。
子供の頃から、私は母の料理の手伝いをしていた。
母に言い付けられたわけではなく、自ら志願して。
母がパートに出るようになったということもあり、中学の頃には夕飯を作るようになっていた。
レパートリーを増やすことと、包丁を上手く使いこなすことに重点を置いて、勉強よりも料理に力を注いでいた。
その習慣はその後もずっと続き、食材についての知識も深めていった。
「ふきのとうに良く似た植物で、福寿草っていうものがあるのよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「見た目はとても似てるんだけどね。
でも、猛毒だから、食べたら死んじゃうこともあるのよ。」
「それは怖いなぁ。これは福寿草じゃないだろうね。」
「大丈夫。これは正真正銘、ふきのとうよ。
間違えたふりをして福寿草を使おうかとも思ったんだけど、今日はふきのとうにしたわ。」
「もう~!冗談きついんだから。」
どうして冗談だと決めつけるんだろう?
私は、真実を告白したのに。
彼には女がいた。
そんなことは、すぐにわかった。
もしも、その浮気が三年続いたら、本当に彼を殺そうと思ってた。
だけど、つい先月、彼がその女と別れたことが、興信所の調査によりわかった。
だから、殺すのはやめた。
浮気癖をのぞいたら、彼はけっこう良い夫だ。
見た目も性格も、サラリーも。
だけど、ずっと殺さないとは限らない。
人を殺すことなんて、簡単なことだ。
毒のある食材は、福寿草以外にも山程ある。
「あれ?どうしたの?」
「あなたがたくさん食べてくれるのが嬉しいの。」
「僕の方こそありがとう。いつも美味しい料理を作ってくれて。」
笑顔の夫は本当に可愛らしい。
殺さないで良かったと思える程に。
苦味が大人の味って感じだよ。」
「そう、気に入ったなら良かったわ。」
彼は、私が作ったふきのとう味噌を美味しそうに食べている。
「君は、本当に料理がうまいね。
すごい才能だよ。」
「……たいしたことないわ。」
先日、二人で何気なく見ていたテレビの旅番組で、ふきのとう味噌が紹介されていて、彼がそれを食べたいと言ったから、ネットで作り方を調べて作ってあげただけのこと。
確かに私は料理が得意だ。
子供の頃から、私は母の料理の手伝いをしていた。
母に言い付けられたわけではなく、自ら志願して。
母がパートに出るようになったということもあり、中学の頃には夕飯を作るようになっていた。
レパートリーを増やすことと、包丁を上手く使いこなすことに重点を置いて、勉強よりも料理に力を注いでいた。
その習慣はその後もずっと続き、食材についての知識も深めていった。
「ふきのとうに良く似た植物で、福寿草っていうものがあるのよ。」
「へぇ、そうなんだ。」
「見た目はとても似てるんだけどね。
でも、猛毒だから、食べたら死んじゃうこともあるのよ。」
「それは怖いなぁ。これは福寿草じゃないだろうね。」
「大丈夫。これは正真正銘、ふきのとうよ。
間違えたふりをして福寿草を使おうかとも思ったんだけど、今日はふきのとうにしたわ。」
「もう~!冗談きついんだから。」
どうして冗談だと決めつけるんだろう?
私は、真実を告白したのに。
彼には女がいた。
そんなことは、すぐにわかった。
もしも、その浮気が三年続いたら、本当に彼を殺そうと思ってた。
だけど、つい先月、彼がその女と別れたことが、興信所の調査によりわかった。
だから、殺すのはやめた。
浮気癖をのぞいたら、彼はけっこう良い夫だ。
見た目も性格も、サラリーも。
だけど、ずっと殺さないとは限らない。
人を殺すことなんて、簡単なことだ。
毒のある食材は、福寿草以外にも山程ある。
「あれ?どうしたの?」
「あなたがたくさん食べてくれるのが嬉しいの。」
「僕の方こそありがとう。いつも美味しい料理を作ってくれて。」
笑顔の夫は本当に可愛らしい。
殺さないで良かったと思える程に。
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