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余寒お見舞い申し上げます。
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(今日は寒かったなぁ……ん?)
それは二月半ばのある寒い日のことだった。
仕事の帰りに、ふとポストを見たら、何かが入っていて…
(誰だよ……)
裏に差出人の名前はなかった。
封筒には厚みがある。
手紙以外の何かが入っていそうだ。
俺はコートを脱ぎ、その手紙の封を開けた。
『余寒お見舞い申し上げます。
立春とは名ばかりの厳しい寒さが続きますが、お変わりありませんでしょうか?』
余寒見舞いなんて、初めてもらった。
それは、雪像の絵葉書の裏に達筆な文字で書かれていた。
雪像といえば、北海道の雪まつりか?
でも、俺は、北海道に知り合いなんていない。
厚みのあったものは、その包装紙から、バレンタインデーのチョコレートと思われた。
開けてみると、予想は的中。
ウィスキーボンボンが入っていた。
これは俺が酒好きと知ってる者からのものなのか、あるいはたまたま?
考えれば考える程、わからない。
バレンタインのチョコをくれる程だから、俺に好意を感じてくれてる者のはず。
こんなモテない俺にチョコをくれる女性がいること自体、信じられない。
そうは思うものの、悪い気はしなかった。
誰だろう?
俺の住所を知ってるってことは、多分、俺も知ってる人だよな。
あ…もしかしたら、クラスメイトとか?
三年前に同窓会に来た中の誰かか!?
余寒見舞いなんて出すからには、博識で風情のある…
その時、俺の脳裏にはある一人の女性の顔が浮かんでいた。
小早川泉水…クラスのマドンナだ。
今でも少しも老けることなく、当時と変わらず綺麗なままで…人妻の色気のようなものが出てきて、以前よりもさらに美しくなっていた。
そういえば、旦那とうまくいってないって話を後で小耳に挟んだが…
(まさか……)
そんなことはあるはずないが、考えれば考える程、泉水からのものに思えてくる。
だけど、あんな美人が俺なんかに興味を持つだろうか?
それから数日考えてみたが、やはり泉水以外に思い当たる者はいない。
(どうしよう!?)
そんなある日、母から電話があった。
「あ、素晴、チョコ届いた~?
あんた、誰からもチョコもらえないってぼやいてたから、お情けで送ってあげたわよ。
ホワイトデーは期待してるからね。」
そう言って笑う母親に、俺はすっかり脱力した。
それは二月半ばのある寒い日のことだった。
仕事の帰りに、ふとポストを見たら、何かが入っていて…
(誰だよ……)
裏に差出人の名前はなかった。
封筒には厚みがある。
手紙以外の何かが入っていそうだ。
俺はコートを脱ぎ、その手紙の封を開けた。
『余寒お見舞い申し上げます。
立春とは名ばかりの厳しい寒さが続きますが、お変わりありませんでしょうか?』
余寒見舞いなんて、初めてもらった。
それは、雪像の絵葉書の裏に達筆な文字で書かれていた。
雪像といえば、北海道の雪まつりか?
でも、俺は、北海道に知り合いなんていない。
厚みのあったものは、その包装紙から、バレンタインデーのチョコレートと思われた。
開けてみると、予想は的中。
ウィスキーボンボンが入っていた。
これは俺が酒好きと知ってる者からのものなのか、あるいはたまたま?
考えれば考える程、わからない。
バレンタインのチョコをくれる程だから、俺に好意を感じてくれてる者のはず。
こんなモテない俺にチョコをくれる女性がいること自体、信じられない。
そうは思うものの、悪い気はしなかった。
誰だろう?
俺の住所を知ってるってことは、多分、俺も知ってる人だよな。
あ…もしかしたら、クラスメイトとか?
三年前に同窓会に来た中の誰かか!?
余寒見舞いなんて出すからには、博識で風情のある…
その時、俺の脳裏にはある一人の女性の顔が浮かんでいた。
小早川泉水…クラスのマドンナだ。
今でも少しも老けることなく、当時と変わらず綺麗なままで…人妻の色気のようなものが出てきて、以前よりもさらに美しくなっていた。
そういえば、旦那とうまくいってないって話を後で小耳に挟んだが…
(まさか……)
そんなことはあるはずないが、考えれば考える程、泉水からのものに思えてくる。
だけど、あんな美人が俺なんかに興味を持つだろうか?
それから数日考えてみたが、やはり泉水以外に思い当たる者はいない。
(どうしよう!?)
そんなある日、母から電話があった。
「あ、素晴、チョコ届いた~?
あんた、誰からもチョコもらえないってぼやいてたから、お情けで送ってあげたわよ。
ホワイトデーは期待してるからね。」
そう言って笑う母親に、俺はすっかり脱力した。
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