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昔話
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「あ、牛さん、こんにちは。
良い天気だね。」
ねずみさんの言葉を、わしは聞こえないふりをした。
そんな自分に、嫌気がさすこともあるけれど、それでもやはり嫌なものは嫌なのだ。
これはもはや昔から受け継がれて来た血のようなものなのだろう。
ねずみは、わしが無視したことをさして気にする様子もなく、駆けて行った。
そう、ねずみとはそういう奴なのだ。
だから、わしも罪悪感等感じることはない。
わしは、みるみる小さくなっていくねずみの後をゆっくりと歩いて行く。
昔、昔、名前も知らぬわしの御先祖様の時代…
神様が動物達にお触れを出された。
この度、干支というものを作ることになったと。
元日、神様に挨拶に来た十二の動物を一年ごとに守り神にするということだった。
守り神になれるのは、早い者勝ちだ。
わしら牛は、他の動物と比べて歩みが遅い。
普通なら諦めるところだが、御先祖様は諦めなかった。
前日の夜から出発し、夜通し歩き続け、見事一番に神様の御屋敷に着いたのだ。
「か…」
「神様、ねずみです!
ねずみが一番に到着しました!」
御先祖様が声をかけようとした瞬間、御先祖様の背中から飛び降りたねずみが、門の中に走って行ったのだ。
呆気に取られている間に、ねずみが一番、御先祖様は二番になってしまったのだ。
今でも腹が立つ。
本来ならば、一番だったのに…御先祖様は、寝ずに歩き続けたのに…
何の努力もしなかったねずみに一番を取られるなんて…
どう考えても納得が行かない。
だから、今でもわしはねずみが嫌いだ。
そういえば、猫さんの御先祖様は、神様に挨拶に行くのは二日だとねずみに嘘を吐かれ、干支に入れなかったらしい。
ネズミという奴は、本当にたちの悪い奴だ。
やはり、仲良くは出来そうにない。
執念深いと言われても、心が狭いと言われても、わしはやっぱり卑怯な奴は嫌いだ。
これからも、わしはまっすぐ正しく生きていこう。
決してねずみのようにはならぬように。
良い天気だね。」
ねずみさんの言葉を、わしは聞こえないふりをした。
そんな自分に、嫌気がさすこともあるけれど、それでもやはり嫌なものは嫌なのだ。
これはもはや昔から受け継がれて来た血のようなものなのだろう。
ねずみは、わしが無視したことをさして気にする様子もなく、駆けて行った。
そう、ねずみとはそういう奴なのだ。
だから、わしも罪悪感等感じることはない。
わしは、みるみる小さくなっていくねずみの後をゆっくりと歩いて行く。
昔、昔、名前も知らぬわしの御先祖様の時代…
神様が動物達にお触れを出された。
この度、干支というものを作ることになったと。
元日、神様に挨拶に来た十二の動物を一年ごとに守り神にするということだった。
守り神になれるのは、早い者勝ちだ。
わしら牛は、他の動物と比べて歩みが遅い。
普通なら諦めるところだが、御先祖様は諦めなかった。
前日の夜から出発し、夜通し歩き続け、見事一番に神様の御屋敷に着いたのだ。
「か…」
「神様、ねずみです!
ねずみが一番に到着しました!」
御先祖様が声をかけようとした瞬間、御先祖様の背中から飛び降りたねずみが、門の中に走って行ったのだ。
呆気に取られている間に、ねずみが一番、御先祖様は二番になってしまったのだ。
今でも腹が立つ。
本来ならば、一番だったのに…御先祖様は、寝ずに歩き続けたのに…
何の努力もしなかったねずみに一番を取られるなんて…
どう考えても納得が行かない。
だから、今でもわしはねずみが嫌いだ。
そういえば、猫さんの御先祖様は、神様に挨拶に行くのは二日だとねずみに嘘を吐かれ、干支に入れなかったらしい。
ネズミという奴は、本当にたちの悪い奴だ。
やはり、仲良くは出来そうにない。
執念深いと言われても、心が狭いと言われても、わしはやっぱり卑怯な奴は嫌いだ。
これからも、わしはまっすぐ正しく生きていこう。
決してねずみのようにはならぬように。
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