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風邪
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(あぁ、頭いてぇ…)
確かに昨夜からなんか調子は悪かった。
だけど、寝たら治るだろうと軽く考えていたのだけど、夜明けあたりから、あまりに具合が悪くて目が覚めた。
寒気がして頭が痛くて、気分が悪くて、体がえらくだるい。
多分、風邪だ。
俺は滅多に風邪は引かない。
引いても、鼻がグズグズするくらいだ。
なのに、今回はいつもと違う。
とてもじゃないが、仕事にも行けそうにない。
「あ、祐二か、悪いんだけど、今日の帰り、うちに来て欲しいんだ。」
俺は、昼休みの時間に友達に電話をした。
「なんだ?どうかしたのか?」
「実は昨夜から具合が悪いんだ。
どうやら風邪らしい。」
「え?おまえが風邪なんて珍しいな!
風邪は何年も引いてないって言ってなかったか?」
「そうなんだけどな。
今回は酷い目にあってる。
それで、風邪薬と体温計と、あとなんか食べるものを買ってきて欲しいんだ。
寒気がして気分が悪くて何も食べたくないんだけど、食べないのも良くないだろうし。
駅前から、石畳の道に沿ってしばらく歩いたらドラッグストアがある。
そこなら、食べ物も売ってるから。」
「わかった。なるべく早く行くから、待ってろよ。」
持つべきものは友だ。
祐二は、ちょっと変わったところはあるが、優しくて信頼出来る奴だ。
その後も体調は良くはならず、眠ることも出来ずに、心細い想いをしながら、祐二が来るのを待った。
「遅くなってすまん!」
「祐二、ありがとう。」
買って来てもらった体温計で計ると、熱は38度を越えていた。
「早く風邪薬飲んで熱を下げなきゃな。
ちょっと待ってろよ。」
祐二はそう言って台所に行き、俺の前に赤っぽいおかゆを差し出した。
「さ、食べろ。」
「え?これ…もしかして明太子?」
「寒気がするって言ってたから。
辛いもの食べたら、体が温まるだろ?」
「あ、あぁ、なるほど。」
明太子粥が今の俺に良いのかどうかはわからなかったけど…
確かに、体は温まるような気はした。
そして、買って来てもらった風邪薬とドリンクを飲んで…
風邪薬が効いたのか、昨夜眠れなかったせいか、その晩はゆっくり眠れて、熱もすっかり下がった。
それ以来、俺の頭には『風邪の時には明太子粥』という説がインプットされてしまった。
確かに昨夜からなんか調子は悪かった。
だけど、寝たら治るだろうと軽く考えていたのだけど、夜明けあたりから、あまりに具合が悪くて目が覚めた。
寒気がして頭が痛くて、気分が悪くて、体がえらくだるい。
多分、風邪だ。
俺は滅多に風邪は引かない。
引いても、鼻がグズグズするくらいだ。
なのに、今回はいつもと違う。
とてもじゃないが、仕事にも行けそうにない。
「あ、祐二か、悪いんだけど、今日の帰り、うちに来て欲しいんだ。」
俺は、昼休みの時間に友達に電話をした。
「なんだ?どうかしたのか?」
「実は昨夜から具合が悪いんだ。
どうやら風邪らしい。」
「え?おまえが風邪なんて珍しいな!
風邪は何年も引いてないって言ってなかったか?」
「そうなんだけどな。
今回は酷い目にあってる。
それで、風邪薬と体温計と、あとなんか食べるものを買ってきて欲しいんだ。
寒気がして気分が悪くて何も食べたくないんだけど、食べないのも良くないだろうし。
駅前から、石畳の道に沿ってしばらく歩いたらドラッグストアがある。
そこなら、食べ物も売ってるから。」
「わかった。なるべく早く行くから、待ってろよ。」
持つべきものは友だ。
祐二は、ちょっと変わったところはあるが、優しくて信頼出来る奴だ。
その後も体調は良くはならず、眠ることも出来ずに、心細い想いをしながら、祐二が来るのを待った。
「遅くなってすまん!」
「祐二、ありがとう。」
買って来てもらった体温計で計ると、熱は38度を越えていた。
「早く風邪薬飲んで熱を下げなきゃな。
ちょっと待ってろよ。」
祐二はそう言って台所に行き、俺の前に赤っぽいおかゆを差し出した。
「さ、食べろ。」
「え?これ…もしかして明太子?」
「寒気がするって言ってたから。
辛いもの食べたら、体が温まるだろ?」
「あ、あぁ、なるほど。」
明太子粥が今の俺に良いのかどうかはわからなかったけど…
確かに、体は温まるような気はした。
そして、買って来てもらった風邪薬とドリンクを飲んで…
風邪薬が効いたのか、昨夜眠れなかったせいか、その晩はゆっくり眠れて、熱もすっかり下がった。
それ以来、俺の頭には『風邪の時には明太子粥』という説がインプットされてしまった。
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