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忙しい男

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(あぁ、寒かった……)



疲れた体を引きずりながら、ようやく家にたどり着いた俺は、
ベッドに腰かけ、手袋とマフラーを外した。
ただ働くだけの毎日。
帰ってきたら、風呂に入るのさえ面倒に思えるくらいに疲れている。
出来ることなら、このまま寝てしまいたいところだが、そうもいかない。



(さ、早く入ってしまおう。)



気合いを入れて風呂に入り、上がると、冷凍の鍋焼きうどんを作る。
作るとはいっても、ただ火にかけるだけだ。



本当なら、先に鍋焼きうどんを食べてから風呂に入った方が良いのかもしれないが、腹が脹れると眠くなって、ますます風呂に入りたくなくなるから。
風呂上がりなのに、また汗をかくのはもったいない気がするけれど、仕方がない。
寒い時期は、毎日みたいにこの冷凍の鍋焼きうどんを食べている。
これが一番手早くて温まるからだ。



(野菜不足だよな、きっと。
栄養のバランスも悪いだろうし。)



そうは思っても、俺にはたいした料理も作れないし、こんなに疲れて帰って来て、それから料理をしようという気にもなれない。



(あぁ、奥さんが欲しい!)



うどんをすすりながら、俺は心の中でそんなことを考えた。



それから数日後。
ようやく、今年の仕事が終わった。
明日からしばらく休みだと思うと、気分的にもほっとする。
そして、その時になって初めて俺は、今年もクリぼっちだったという悲しい事実に気が付いた。




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