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二度目のクリスマス

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(う、嘘だろ!?)



俺の鼓動は早鐘を打ちだしていた。
きっと、今、俺の顔色は真っ青だ。
変な汗まで流れてきたぞ。



俺がこんな風になるのも当然だ。
なんせ、財布がないんだから。
昨日、おろしたばかりのボーナスも入れてあった財布が、ないんだぞ。



「す、すみません。
財布忘れたんで、また来ます。」

そう言い残して、俺は店を出た。
クリスマスだから、加奈子に指輪をプレゼントするつもりだったんだ。
でも、今年はプレゼントももう買えそうにない。



はぁ~……



思いっきり大きなため息が出た。
それも当然だろう。
しつこいけど、俺は財布を落としてしまったんだから。



(あぁ、ショックだ…)



加奈子にも謝らなくちゃいけないな。
指輪は、来年まで待ってもらおう。
今夜の食事代も加奈子に借りるしかない。







「マ、マジ?」

待ち合わせてたレストランで、俺は財布をなくしたことを加奈子に話した。
加奈子は驚き、そして呆れていた。



「警察には言ったの?」

「え…でも、言ったって、どうせ無駄だろ?」

「クレジットカードや、キャッシュカードも電話して止めなきゃ。」

「それなら大丈夫。カードは定期入れに入れてるから。」

俺の財布はカード入れがあまりたくさん付いてないから、別にしておいたんだ。
それだけは助かった。



「それで、今月の生活費は大丈夫なの?」

「うん、まぁな。」

貯金はあんまりないけど、とりあえず今月分くらいはなんとかなる。



「ごめんな。クリスマスイブにこんなことになって。」

「仕方ないわよ。厄を祓ったとでも思って、早く忘れないとね。」

「ありがとう。
指輪は来年必ず買うから。」

「そんなの良いわよ。」

加奈子が物分りの良い子で、本当に良かった。



次の日の朝…
いつものように慌ただしく出掛ける準備をしていた時、俺はマスクを探していた。



(確か、このあたりにあったはずだけど…)



普段からあまり几帳面じゃないから、よくこんなことになる。



「あ!!」



俺は、テーブルの下にあるものを発見した。



「や、やった~!」



そこにあったのは、昨日落としたと思っていた財布だった。
もちろん、ボーナスの分もちゃんと入っていた。
なぜ、財布がこんなところにあったのかはわからないけれど、そんなことはもうどうでも良い。



『今夜、昨日のレストランでクリスマスをやり直そう!』

俺は加奈子にLINEを送った。
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