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人々の声
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「えーっ!マジかよ!?」
「ムカつくよなぁ。なんでそんなに低いんだよ!」
俺たちは、さっき聞いたばかりの初回の視聴率を聞いて、打ちひしがれていた。
確かに、最近は若者のテレビ離れが酷いと聞く。
若いヤツらは、YouTubeとか動画ばかりを見て、テレビを見なくなったらしい。
しかも、ドラマは特にその傾向が強いと言われている。
俺たちがまだ若かった頃には、ドラマが始まる時間になると銭湯が空になるとか、視聴率50%越えなんて、とんでもないものもあったのに。
確かに、このドラマは今の世の中にはちょっと不似合いな真面目な内容ではある。
だが、主役の二人も若いとはいえ、演技力には定評があるし、何よりドラマに対する思い入れもとても強い。
監督もこのドラマにはかなり力を入れてるし、脚本も良い。
俺はそんなドラマに出られることを誇りにも感じていた。
なのに、そのドラマの視聴率が10%を切ってるだと?
信じられない。
日本国民はどうかしているとしか思えない。
「大丈夫ですよ。
きっとこれから盛り返しますって。
なんせ、まだ初回なんですから。」
「そうですよ。それを信じて今日も頑張りましょうよ。」
本当に、主役の二人は若いくせに良く出来た奴らだ。
愚痴ってる俺たちをなだめてくれたんだから。
「なぁ、あんたらも普段はテレビを見ないのか?
今の若者はテレビを見ないんだろう?」
「え?僕はテレビ好きですよ。」
「私もです。
目が覚めたら、すぐにテレビを付けますよ。」
全く、本当に良い奴らだ。
イライラしていた俺の気持ちも、さっと靄が晴れた感じだ。
*
結局、その後も視聴率は対して上がることは無いままに、ドラマは最終回を迎えた。
俺は本当にやり切れない気持ちだった。
まぁ、俺はそんなたいした役ではなかったからまだ良いようなものの、主役の二人はかなりガックリ来てるんじゃないだろうか。
「気を落とすなよ。視聴率は良くなかったが、本当に良いドラマだったし、あんたらの演技も最高だった。」
余計なことかもしれないが、どうしてもそれだけは伝えたかった。
「健さん、視聴率だけがすべてじゃないですよ。
TwitterやFacebookでは、あのドラマ、評判が良くて…」
そう言って、俺にスマホの画面を見せてくれた。
そのコメントに、俺は驚くと同時に救われた。
SNSなんて、ろくでもないものだと思っていたが、こんなにも熱いコメントをくれる者がいるとは初めて知った。
若者はテレビから離れても、やっぱりまだ見てくれてる人達もたくさんいるということもわかり、俺は胸が熱くなった。
「ムカつくよなぁ。なんでそんなに低いんだよ!」
俺たちは、さっき聞いたばかりの初回の視聴率を聞いて、打ちひしがれていた。
確かに、最近は若者のテレビ離れが酷いと聞く。
若いヤツらは、YouTubeとか動画ばかりを見て、テレビを見なくなったらしい。
しかも、ドラマは特にその傾向が強いと言われている。
俺たちがまだ若かった頃には、ドラマが始まる時間になると銭湯が空になるとか、視聴率50%越えなんて、とんでもないものもあったのに。
確かに、このドラマは今の世の中にはちょっと不似合いな真面目な内容ではある。
だが、主役の二人も若いとはいえ、演技力には定評があるし、何よりドラマに対する思い入れもとても強い。
監督もこのドラマにはかなり力を入れてるし、脚本も良い。
俺はそんなドラマに出られることを誇りにも感じていた。
なのに、そのドラマの視聴率が10%を切ってるだと?
信じられない。
日本国民はどうかしているとしか思えない。
「大丈夫ですよ。
きっとこれから盛り返しますって。
なんせ、まだ初回なんですから。」
「そうですよ。それを信じて今日も頑張りましょうよ。」
本当に、主役の二人は若いくせに良く出来た奴らだ。
愚痴ってる俺たちをなだめてくれたんだから。
「なぁ、あんたらも普段はテレビを見ないのか?
今の若者はテレビを見ないんだろう?」
「え?僕はテレビ好きですよ。」
「私もです。
目が覚めたら、すぐにテレビを付けますよ。」
全く、本当に良い奴らだ。
イライラしていた俺の気持ちも、さっと靄が晴れた感じだ。
*
結局、その後も視聴率は対して上がることは無いままに、ドラマは最終回を迎えた。
俺は本当にやり切れない気持ちだった。
まぁ、俺はそんなたいした役ではなかったからまだ良いようなものの、主役の二人はかなりガックリ来てるんじゃないだろうか。
「気を落とすなよ。視聴率は良くなかったが、本当に良いドラマだったし、あんたらの演技も最高だった。」
余計なことかもしれないが、どうしてもそれだけは伝えたかった。
「健さん、視聴率だけがすべてじゃないですよ。
TwitterやFacebookでは、あのドラマ、評判が良くて…」
そう言って、俺にスマホの画面を見せてくれた。
そのコメントに、俺は驚くと同時に救われた。
SNSなんて、ろくでもないものだと思っていたが、こんなにも熱いコメントをくれる者がいるとは初めて知った。
若者はテレビから離れても、やっぱりまだ見てくれてる人達もたくさんいるということもわかり、俺は胸が熱くなった。
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