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私の彼氏
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「ねぇ、明日、買い物に行かない?」
「あ…ごめん。明日はちょっと…」
「もしかして、彼氏とデート?」
「うん…実はそうなんだ。ごめんね。」
「そっか~…あの彼とまだうまくいってるんだね。
……良かった。」
なんだかちょっと嫌な気分。
まず『あの彼』っていうのは、何?
わかってるよ。彼が変わり者だからだよね。
そんなこと、私は気にしない。
そりゃあ、初めて会った時はちょっと引いたけど、髪形や服装が変わってることくらいなんでもない。
むしろ、今では個性的で良いと思ってるよ。
彼は、外見はちょっと変だけど、中身は本当に良い人なんだもの。
まじめだし、優しいし、気も利くし、努力家だし、なにより私のことをとても大切にしてくれる。
それだけで、十分だよ。
それに、『まだうまくいってる』って…
理沙は、私と彼が長続きしないと思ってたんだね。
酷い話だ。
でも、良いんだ。
どう思われようと。
私と彼はうまくいってるんだから。
*
「サチ~!ここ!」
「え?」
聞き慣れた声に振り向くと、そこには、車の窓から手を振る彼の姿があった。
「ど、どうしたの?」
彼は、免許を持ってなかったはずなのに、どうして?
「へへっ!ついに免許取ったんだ。
さ、乗って!
今日が初ドライブなんだ!」
「う、うん。」
おそらく彼が選んだであろうその車は、めったに見たことのない個性的な車だった。
私は、車には疎いからなんて車なのかはわからないけど…
「免許なんていつ取ったの?」
私が乗り込むと、車は滑るように走り出した。
「サチをびっくりさせようと思って、秘密にしてたんだ。
俺、どうしてもこの車でサチとドライブしたかったから。」
「そ、そうなんだ。個性的な車だね。」
「だろ?めっちゃ、かっこいいよな?
ほら見てよ、このシフトノブ。」
そう言って、彼が指さした先にあったものは、中に花が入ってるみたいなものだった。
「綺麗だね。」
「水中花だぜ。いかしてるよなぁ…」
彼はそれをすごく気にいってるみたいだった。
「本当に、80年代って最高だよな!」
そう、彼は80年代をこよなく愛する人なんだ。
90年代生まれなのに、とにかく彼は80年代のものが大好き。
服装も80年代の流行りの古着。
髪形も80年代に流行ったテクノカットってやつらしい。
「もしかして、この車も…」
「もちろん!チェイサーっていうなつなんだ。」
「へ、へぇ……」
カーステレオから流れてるのは、80年代のヒット曲だと思う。
私は知らない曲だけど…
「とりあえず、海まで走ろうか…」
彼は初心者とは思えないほど、運転がうまかった。
他愛ない会話を交わしながら海までドライブして、ヒグラシが鳴く頃まで海の付近で遊んだ。
こんなことなら水着でも持ってくれば良かった。
(でも…80年代の水着ってどんなのだろう?)
ふとそんなことを考えて、私は頭をひねった。
「あ…ごめん。明日はちょっと…」
「もしかして、彼氏とデート?」
「うん…実はそうなんだ。ごめんね。」
「そっか~…あの彼とまだうまくいってるんだね。
……良かった。」
なんだかちょっと嫌な気分。
まず『あの彼』っていうのは、何?
わかってるよ。彼が変わり者だからだよね。
そんなこと、私は気にしない。
そりゃあ、初めて会った時はちょっと引いたけど、髪形や服装が変わってることくらいなんでもない。
むしろ、今では個性的で良いと思ってるよ。
彼は、外見はちょっと変だけど、中身は本当に良い人なんだもの。
まじめだし、優しいし、気も利くし、努力家だし、なにより私のことをとても大切にしてくれる。
それだけで、十分だよ。
それに、『まだうまくいってる』って…
理沙は、私と彼が長続きしないと思ってたんだね。
酷い話だ。
でも、良いんだ。
どう思われようと。
私と彼はうまくいってるんだから。
*
「サチ~!ここ!」
「え?」
聞き慣れた声に振り向くと、そこには、車の窓から手を振る彼の姿があった。
「ど、どうしたの?」
彼は、免許を持ってなかったはずなのに、どうして?
「へへっ!ついに免許取ったんだ。
さ、乗って!
今日が初ドライブなんだ!」
「う、うん。」
おそらく彼が選んだであろうその車は、めったに見たことのない個性的な車だった。
私は、車には疎いからなんて車なのかはわからないけど…
「免許なんていつ取ったの?」
私が乗り込むと、車は滑るように走り出した。
「サチをびっくりさせようと思って、秘密にしてたんだ。
俺、どうしてもこの車でサチとドライブしたかったから。」
「そ、そうなんだ。個性的な車だね。」
「だろ?めっちゃ、かっこいいよな?
ほら見てよ、このシフトノブ。」
そう言って、彼が指さした先にあったものは、中に花が入ってるみたいなものだった。
「綺麗だね。」
「水中花だぜ。いかしてるよなぁ…」
彼はそれをすごく気にいってるみたいだった。
「本当に、80年代って最高だよな!」
そう、彼は80年代をこよなく愛する人なんだ。
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服装も80年代の流行りの古着。
髪形も80年代に流行ったテクノカットってやつらしい。
「もしかして、この車も…」
「もちろん!チェイサーっていうなつなんだ。」
「へ、へぇ……」
カーステレオから流れてるのは、80年代のヒット曲だと思う。
私は知らない曲だけど…
「とりあえず、海まで走ろうか…」
彼は初心者とは思えないほど、運転がうまかった。
他愛ない会話を交わしながら海までドライブして、ヒグラシが鳴く頃まで海の付近で遊んだ。
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ふとそんなことを考えて、私は頭をひねった。
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