178 / 364
運命の出会い
1
しおりを挟む
(……そんなに変かな?)
いつものようにベランダで星を見ようとした時に、ふと、そんなことを思って、僕の動きが止まった。
最近、友達に誘われて参加した合コンで、自己紹介をする時に趣味は天体観測だと言ったら、なぜだかくすくす笑われた。
いや、あからさまに馬鹿にされたわけじゃないんだけど、どこか腫れ物にでも触るような遠慮しがちの笑い…
それは、気のせいではないと思う。
だって、その後、僕はなんとなくみんなの輪から離れてしまったのだから。
別にそれは良いんだ。
その合コンは、無理に誘われたものだし、行きたくて行ったものではなかったから。
そりゃあもう三十路を過ぎてるんだから、僕だって恋人は欲しいし、結婚だっていつかはしたい。
でも、趣味が天体観測だと言っただけで笑うような人とは、こっちから願い下げだ。
(天体観測のどこが悪いって言うんだよ…)
僕は、ベランダに出ると望遠鏡で夜空を見上げた。
*
「え…今日はちょっと…」
「頼むよ!今日だけで良いから。な、この通りだ!」
ある時、僕はまた合コンに誘われた。
今日行くはずの一人が、体調を崩して急に行けなくなったと言う。
乗り気ではなかったが、あまりに強引なので、根負けして僕は参加することにした。
「小野田泰樹です。趣味は……天体観測です。」
そう言った途端にどこかから聞こえる小さな笑い声。
やっぱり、来るんじゃなかった…そう思ったのだけど…
「あ…あの…小野田さん…さっき、趣味が天体観測って言われてましたけど…」
席替えになった時、参加者の一人が僕にそんなことを話しかけて来た。
その女性はどちらかというと地味なタイプだけれど、近くで見るとけっこう可愛らしい顔をしていた。
「え?ええ…そうなんです。」
「じゃあ、望遠鏡も持ってらっしゃるんですよね?
屈折式ですか?それとも反射式?」
「一応、どちらも持ってますが、屈折式の方をよく使ってます。」
「私、まだ初心者なんですけど、今度、望遠鏡を買おうと思ってるんです。
もしよかったら、どんなのが良いか、相談に乗ってもらえませんか?」
「え?あ、はい、良いですよ。」
「わ、やった!あ、〇〇市に新しいプラネタリウムが出来るの、ご存じですか?」
「はい。知ってます。
実はもうチケットも買ってあるんです。」
「えーっ!私もです。
良かったら、一緒に…あ、すみません!初対面なのに厚かましいこと言ってしまって…」
信じられないようなこの出会いに、僕は今日合コンに参加したことを心の底から感謝した。
いつものようにベランダで星を見ようとした時に、ふと、そんなことを思って、僕の動きが止まった。
最近、友達に誘われて参加した合コンで、自己紹介をする時に趣味は天体観測だと言ったら、なぜだかくすくす笑われた。
いや、あからさまに馬鹿にされたわけじゃないんだけど、どこか腫れ物にでも触るような遠慮しがちの笑い…
それは、気のせいではないと思う。
だって、その後、僕はなんとなくみんなの輪から離れてしまったのだから。
別にそれは良いんだ。
その合コンは、無理に誘われたものだし、行きたくて行ったものではなかったから。
そりゃあもう三十路を過ぎてるんだから、僕だって恋人は欲しいし、結婚だっていつかはしたい。
でも、趣味が天体観測だと言っただけで笑うような人とは、こっちから願い下げだ。
(天体観測のどこが悪いって言うんだよ…)
僕は、ベランダに出ると望遠鏡で夜空を見上げた。
*
「え…今日はちょっと…」
「頼むよ!今日だけで良いから。な、この通りだ!」
ある時、僕はまた合コンに誘われた。
今日行くはずの一人が、体調を崩して急に行けなくなったと言う。
乗り気ではなかったが、あまりに強引なので、根負けして僕は参加することにした。
「小野田泰樹です。趣味は……天体観測です。」
そう言った途端にどこかから聞こえる小さな笑い声。
やっぱり、来るんじゃなかった…そう思ったのだけど…
「あ…あの…小野田さん…さっき、趣味が天体観測って言われてましたけど…」
席替えになった時、参加者の一人が僕にそんなことを話しかけて来た。
その女性はどちらかというと地味なタイプだけれど、近くで見るとけっこう可愛らしい顔をしていた。
「え?ええ…そうなんです。」
「じゃあ、望遠鏡も持ってらっしゃるんですよね?
屈折式ですか?それとも反射式?」
「一応、どちらも持ってますが、屈折式の方をよく使ってます。」
「私、まだ初心者なんですけど、今度、望遠鏡を買おうと思ってるんです。
もしよかったら、どんなのが良いか、相談に乗ってもらえませんか?」
「え?あ、はい、良いですよ。」
「わ、やった!あ、〇〇市に新しいプラネタリウムが出来るの、ご存じですか?」
「はい。知ってます。
実はもうチケットも買ってあるんです。」
「えーっ!私もです。
良かったら、一緒に…あ、すみません!初対面なのに厚かましいこと言ってしまって…」
信じられないようなこの出会いに、僕は今日合コンに参加したことを心の底から感謝した。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サワれない男 ( サワりたいけど、サワれない男の物語… )
vspo
大衆娯楽
女性にフレたい、いやサワりたい。
心の奥底ではそう思っている。
だが、サワる勇気が無い。
心の奥底に秘める欲望と理性が格闘するうち、
いつしか得も知れぬ快感を覚えるようになった…。
≫≫≫ANN(オールナイトニッポン)を聞きながら考えたものでR。
岡村隆史がこうゆう役を演じたら…。
岡村なら、心の微妙な変化を素直に演じれるのではないか?
いや、岡村なら、こうゆう役を演じれるだろうと考えたものでR。
2015年、2016年の頃だったか?…。
■サワれない男 …登場人物
・ナインティナイン岡村隆史 …サワれない男
・ナインティナイン矢部浩之 …検察官
・ヒロイン …黒髪で清楚な感じで、タイトスカートの似合う女性
・他
問答無用、食道楽事件帳
献残屋藤吉郎
大衆娯楽
事業に失敗するまでは食道楽をして楽しんでいた無用主水が托鉢旅をして、全国の名刹を訪ねながら、仲間になった平正義と言う武道家と、流かすみと言う女性と知り合い、三人で托鉢旅を続ける、社会派サスペンス小説、ハードボイル的な物語
つまやかし日記~2018.7月転職ピンチを乗り越えろ、わすれるな〜
三五八11
大衆娯楽
2018.7.10
転職ピンチを乗り越えろ
そして、妻さんの優しさをわすれるな
目標
「奥さんを甘やかす」略して
【つまやかし】を達成する為
掃除・洗濯などの家事を覚え始めたんですが
一番好きなのは料理なんで
前日の仕込み、当日仕上げは
奥さんか私の先に帰った方。
時折長男に火をつけさせる
他にも家事について書きます
食費計算までいけたらいいなぁ
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理なギャグが香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
【意味怖】意味が解ると怖い話【いみこわ】
灰色猫
ホラー
意味が解ると怖い話の短編集です!
1話完結、解説付きになります☆
ちょっとしたスリル・3分間の頭の体操
気分のリラックスにいかがでしょうか。
皆様からの応援・コメント
皆様からのフォロー
皆様のおかげでモチベーションが保てております。
いつも本当にありがとうございます!
※小説家になろう様
※アルファポリス様
※カクヨム様
※ノベルアッププラス様
にて更新しておりますが、内容は変わりません。
【死に文字】42文字の怖い話 【ゆる怖】
も連載始めました。ゆるーくささっと読めて意外と面白い、ゆる怖作品です。
ニコ動、YouTubeで試験的に動画を作ってみました。見てやってもいいよ、と言う方は
「灰色猫 意味怖」
を動画サイト内でご検索頂ければ出てきます。
【アルファポリスで稼ぐ】新社会人が1年間で会社を辞めるために収益UPを目指してみた。
紫蘭
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスでの収益報告、どうやったら収益を上げられるのかの試行錯誤を日々アップします。
アルファポリスのインセンティブの仕組み。
ど素人がどの程度のポイントを貰えるのか。
どの新人賞に応募すればいいのか、各新人賞の詳細と傾向。
実際に新人賞に応募していくまでの過程。
春から新社会人。それなりに希望を持って入社式に向かったはずなのに、そうそうに向いてないことを自覚しました。学生時代から書くことが好きだったこともあり、いつでも仕事を辞められるように、まずはインセンティブのあるアルファポリスで小説とエッセイの投稿を始めて見ました。(そんなに甘いわけが無い)
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
新☆何でも屋
みのる
大衆娯楽
店主中村となった新装開店『何でも屋』。その約1年の軌跡をまた!思いついた時にみのるがseiiti氏から引き継ぎ、書いていきます。著作権はseiiti氏から譲り受けました。
(気が向いたら足を止めてやって下さい)
※とても短文であることを覚悟しておいてください。
※※更に不定期更新であることも覚悟しておいてください。m(_ _)m
※※※知ってる人は知っている……
知らなかった人……は、……そのまま居ても(ある意味)良し!←?
実は作者が……最近みのるではありませぬ。
(てか気づいてたけどぉ?)
そう!まさかのseiiti氏なのです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる