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二日目

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「おい、一体いつまで寝てんだよ。」

「え…!?」

不意に大きな声が聞こえたと思ったら、カーテンが引かれた。
私のお気に入りの鮮やかな緑色のカーテンが。



「もう~っ!眩しいじゃない。」

「当たり前だ。もう昼近いんだからな。
今日はこんなに天気が良いっていうのに、まだ寝てるなんて信じられない。」

「もうっ!」

私は、枕を叩き、健太に合鍵を渡したことを深く後悔した。



「せっかくの連休なのに、家にくすぶってるなんてないだろ。」

「連休なんだから、ゆっくりしようよ。」

健太に会いたくないわけじゃないけど、本音を言えば、連休は日頃の疲れを癒すために使いたい。
昨日は、顔さえ洗わずほとんど寝て過ごした。



「おまえなぁ…だから、俺も気を遣って昨日は連絡しなかった。
でも、もう二日目だ。
しかも、今日は、特別な祝日なんだぞ。知ってるか?
本来なら10月のはずのスポーツの日が今年に限り、7月にあるんだ。今年限りなんだぞ。」

健太は熱く語るけど、私にはそんなこと、さして重要だとは思えない。
まさか、今日はスポーツをしようなんて言うんじゃないでしょうね。
やだ。こんな暑い日にスポーツなんて、絶対にしたくない!



「とにかく早く起きろ。」

「えー…」

私は不機嫌な顔で不機嫌な声を出す。
健太へのささやかな抵抗だ。







「なんか、ほっとするね。」

「だろ?」

健太の作ってくれたお昼ご飯を食べて、それから何時間も車を走らせて…たどり着いた先は山の上だった。



「本当は歩いてのぼりたかったんだけどな。」

「スポーツの日だから?」

「そう。」

「ハイキングって、スポーツだっけ?」

「体動かすんだから、スポーツみたいなもんだろ。」

でも、車で来たのは、きっと、私がごねることをわかってたからだ。



「今日はここに泊まるからな。」

「えっ!」

なんと、健太はコテージを予約していた。
夕食にはバーベキューをした。
セットで持って来てくれるし、健太が焼いてくれたからすごく楽だった。
家を出る時は、あんなに不機嫌だったのが嘘みたい。
今日は予想外に楽しい一日になった。



「さて、と…次は花火だな。」

「え?花火?なんで?」

「な、なんでって、夏の夜って言ったら花火だろうが!」

「えー、そうかなぁ?」

「そうなんだよ。ほら、やるぞ!」

線香花火の火の玉が最後まで落ちなかったらプロポーズすると決めていたなんて、この時の私は知る由もなかった。
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