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軍団
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「それはなかなか大変だな。」
「大変なんてもんじゃないよ。」
俺はラーメンをすすりながら、この店の親父に愚痴をこぼしていた。
「まぁ、嫁さんとしたら、やれることはすべてやりたいってことなんだろうな。」
「その気持ちがわからないわけじゃないよ。
だけど、あの光景を見たら、嫌にもなるよ。」
今、俺の家の軒下には、端から端までてるてる坊主がずらりと並んでいる。
通りがかる人たちが、怪訝な顔でそれを眺める。
そりゃあそうだろう。
明らかに怪しい光景だからな。
これは、さつきの願いの表れだ。
来週の結婚式は絶対に晴れさせるっていう切実な想いなんだ。
「あんたは有名な雨男だからなぁ。
ここに来る時だって、いつも雨だ。
今日だってほら。」
親父は、窓の方を顎で示した。
外では、激しい雨が地面を叩いている。
そう、俺はいわゆる『雨男』だ。
『雨男』なんて言葉を知らなかった、まだ幼い子供の頃から、どこに行くにもいつも雨だった。
だから、俺は雨には慣れてるし、結婚式も別に雨だってかまわないと思ってる。
だけど、さつきはそうじゃない。
絶対に晴れじゃないと嫌らしいんだ。
だったら、何もわざわざ梅雨のシーズンにしなくても…と思ったけれど、そこは女子のこだわりで、ジューンブライドに憧れてるからなんだ。
なんでも、『6月に結婚する花嫁は幸せになれる』という言い伝えがあるらしいんだけど、6月に結婚してもうまくいかない奴はうまくいかない。
結局、ただの迷信だと思うんだけど、そんなことを言ったら、さつきの機嫌を損ねてしまう。
言わぬが花だ。
それにしても、女っていうのは、つくづくややこしい生き物だ。
「ごちそう様。」
「結婚式が晴れることを祈ってるぜ。」
「おやっさん、ありがとう!」
店を出た時もやっぱり雨。
でも、雨は、そんなにいやなもんじゃない。
けっこうロマンチックだと思うんだけどな。
それに、結婚式は教会の中でやるんだし、それほど迷惑ってわけでもないのに。
だけど…今回だけは、さつきの願いを叶えてやってほしい。
そうだ…!家に帰ったら、俺もてるてる坊主を作ってやろう。
愛するさつきの願いのために。
「大変なんてもんじゃないよ。」
俺はラーメンをすすりながら、この店の親父に愚痴をこぼしていた。
「まぁ、嫁さんとしたら、やれることはすべてやりたいってことなんだろうな。」
「その気持ちがわからないわけじゃないよ。
だけど、あの光景を見たら、嫌にもなるよ。」
今、俺の家の軒下には、端から端までてるてる坊主がずらりと並んでいる。
通りがかる人たちが、怪訝な顔でそれを眺める。
そりゃあそうだろう。
明らかに怪しい光景だからな。
これは、さつきの願いの表れだ。
来週の結婚式は絶対に晴れさせるっていう切実な想いなんだ。
「あんたは有名な雨男だからなぁ。
ここに来る時だって、いつも雨だ。
今日だってほら。」
親父は、窓の方を顎で示した。
外では、激しい雨が地面を叩いている。
そう、俺はいわゆる『雨男』だ。
『雨男』なんて言葉を知らなかった、まだ幼い子供の頃から、どこに行くにもいつも雨だった。
だから、俺は雨には慣れてるし、結婚式も別に雨だってかまわないと思ってる。
だけど、さつきはそうじゃない。
絶対に晴れじゃないと嫌らしいんだ。
だったら、何もわざわざ梅雨のシーズンにしなくても…と思ったけれど、そこは女子のこだわりで、ジューンブライドに憧れてるからなんだ。
なんでも、『6月に結婚する花嫁は幸せになれる』という言い伝えがあるらしいんだけど、6月に結婚してもうまくいかない奴はうまくいかない。
結局、ただの迷信だと思うんだけど、そんなことを言ったら、さつきの機嫌を損ねてしまう。
言わぬが花だ。
それにしても、女っていうのは、つくづくややこしい生き物だ。
「ごちそう様。」
「結婚式が晴れることを祈ってるぜ。」
「おやっさん、ありがとう!」
店を出た時もやっぱり雨。
でも、雨は、そんなにいやなもんじゃない。
けっこうロマンチックだと思うんだけどな。
それに、結婚式は教会の中でやるんだし、それほど迷惑ってわけでもないのに。
だけど…今回だけは、さつきの願いを叶えてやってほしい。
そうだ…!家に帰ったら、俺もてるてる坊主を作ってやろう。
愛するさつきの願いのために。
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