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手料理

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「ジャジャジャジャーン!」

大袈裟な擬音を口にして、加奈子がテーブルに置いたのは、色鮮やかなサラダだった。



「えらく綺麗だね。何?これ。」

「見てわからない?
言ったでしょ?今日のテーマは『春を食べよう!』だよ。」

「え…」

サラダの上にばらまかれたものは、花びらのように見える。
花には詳しくない僕の浅い知識から推測すれば、それはチューリップの花びらに見えた。



「ねぇ、当ててみてよ?」

「えっと…まさか、チューリップ…じゃないよね?」

「ピンポンピンポンピンポン!
なんだ、わかってたんじゃない。」

「マジ?でも、チューリップなんて食べて大丈夫なの?」

「食用のチューリップだから、大丈夫よ。
春って言ったら、やっぱり、チューリップだもんね。」

まぁ、確かにそうだけど…
食用のチューリップなんて、初めて見たよ。



「僕、ポテサラ、大好きなんだ。
早く食べようよ。」

僕がそう言うと、加奈子はくすくすと笑った。



「何?」

「はい、どうぞ。」

加奈子は僕の問いかけには答えず、サラダを取り分けてくれた。



「うん、さすがに美味しいね!
わ、チューリップって歯ごたえが良いんだ。
あ、キャベツは甘い。」

「春キャベツだからね。
ねぇ、遼君……何も感じない?」

「感じないって…何を?」

加奈子はまたおかしそうに肩を揺らした。



「何、笑ってるんだよ?」

「遼君~、これ、ポテサラじゃないんだよ。」

「えっ!?どういうこと?」

「だから~これはポテトじゃなくて、お、か、ら!」

「えーっ!?まさか!」

「本当だってば。
遼君、最近太ったよね?
だから、カロリーを考えて、ポテトじゃなくておからを使ったんだよ。」

「えー…」

味も見た目もポテサラにしか思えなかった。
まさか、これがおからだとは!



「びっくりした?」

「うん。おからがこんなに美味しいなんて知らなかったよ。」

加奈子は、本当に料理上手だ。
美味しいだけじゃなく、僕の体のことも考えてくれてたなんて…



(やっぱり、僕の結婚相手は加奈子しかいない!)



僕は、改めてそう思った。
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