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ともだち
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「八、ハロー!」
「こんにちは。」
「あ、こ、こんにちは。
もしかして、日本語話せるの?」
「はい、そうじゃなきゃ、入学出来ませんから。」
「あ、そ、そっか…」
入学式の日、突然、私に話しかけて来たのは、純朴な…悪く言えば、垢抜けない雰囲気の男子だった。
確かに私の風貌は目立つと思う。
金髪のロングヘア、青い目、男子と変わらない程の長身。
「あ、あの…君はどこの国の人なの?」
彼は、おどおどとした態度で私にそう問いかけた。
「アメリカです。」
「そうなんだ。僕、外国の人と話したのは初めてなんだ。
っていうか、会ったのも初めてなんだ。」
そう言って、彼ははにかんだ。
私は、その言葉にはちょっとびっくりした。
今時、外国人を見たことがない人がいたなんて、信じられない。
「そうなんですか…」
素っ気ない返事だけど、私にはそうとしか言えなかった。
「あ、あの…僕、二宮幸夫。
よ、よろしくね。」
「あ…私は……kyoto morrisです。」
「え?きょうこさん?」
「いえ…きょうとです。」
それがおかしなことだと知ったのは、日本に来てからのことだった。
両親は共に日本のアニメファンで、それが縁で結婚した。
二人の夢は日本に住むこと。
そんな両親は、憧れの地『京都』をそのまま私の名前にした。
私の両親が日本贔屓だということをみんな知っていたせいか、私の名前に付いても特に何か言うことはなかった。
だけど、日本に来てからは、私が名前を言うと、みんなが一瞬戸惑った。
彼と同じように「きょうこさん?」と訊かれることが何度もあった。
やはり地名を名前にするのはおかしなことなんだって、私はようやく理解した。
それ以来、私は自分の名前が嫌いになった。
「へぇ…きょうとさんか…素敵な名前だね。
綺麗だし覚えやすいし、響きも良いよね。」
「え?」
彼は、自然な笑みを浮かべていて、私をからかっている様子は感じられない。
「あ、ありがとう。」
気恥しさと同時に、嬉しさを感じた。
コンプレックスだった私の名前を認めてもらえたような気がして…
幸夫は、私が大学に入学して初めての友達となった。
「こんにちは。」
「あ、こ、こんにちは。
もしかして、日本語話せるの?」
「はい、そうじゃなきゃ、入学出来ませんから。」
「あ、そ、そっか…」
入学式の日、突然、私に話しかけて来たのは、純朴な…悪く言えば、垢抜けない雰囲気の男子だった。
確かに私の風貌は目立つと思う。
金髪のロングヘア、青い目、男子と変わらない程の長身。
「あ、あの…君はどこの国の人なの?」
彼は、おどおどとした態度で私にそう問いかけた。
「アメリカです。」
「そうなんだ。僕、外国の人と話したのは初めてなんだ。
っていうか、会ったのも初めてなんだ。」
そう言って、彼ははにかんだ。
私は、その言葉にはちょっとびっくりした。
今時、外国人を見たことがない人がいたなんて、信じられない。
「そうなんですか…」
素っ気ない返事だけど、私にはそうとしか言えなかった。
「あ、あの…僕、二宮幸夫。
よ、よろしくね。」
「あ…私は……kyoto morrisです。」
「え?きょうこさん?」
「いえ…きょうとです。」
それがおかしなことだと知ったのは、日本に来てからのことだった。
両親は共に日本のアニメファンで、それが縁で結婚した。
二人の夢は日本に住むこと。
そんな両親は、憧れの地『京都』をそのまま私の名前にした。
私の両親が日本贔屓だということをみんな知っていたせいか、私の名前に付いても特に何か言うことはなかった。
だけど、日本に来てからは、私が名前を言うと、みんなが一瞬戸惑った。
彼と同じように「きょうこさん?」と訊かれることが何度もあった。
やはり地名を名前にするのはおかしなことなんだって、私はようやく理解した。
それ以来、私は自分の名前が嫌いになった。
「へぇ…きょうとさんか…素敵な名前だね。
綺麗だし覚えやすいし、響きも良いよね。」
「え?」
彼は、自然な笑みを浮かべていて、私をからかっている様子は感じられない。
「あ、ありがとう。」
気恥しさと同時に、嬉しさを感じた。
コンプレックスだった私の名前を認めてもらえたような気がして…
幸夫は、私が大学に入学して初めての友達となった。
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